今週末、フランスのル・マン、ブガッティ・サーキットでMotoGP第5戦フランスGPが開催される。
フランスGPの舞台となるル・マンは、フランスの首都パリの東南約200kmに位置した4輪の24時間耐久レースで有名な街。4輪の24時間耐久レースは公道コースを中心としたロングコースのサルト・サーキットで開催されるが、2輪のグランプリは常設サーキットのブガッティ・サーキットが舞台となる。
ブガッティ・サーキットは、全長4.2km、左コーナー5、右コーナー9の計14コーナーで構成され、最長ストレートは674m。全体的には中低速コーナーがメインの典型的なストップ&ゴータイプのコースレイアウト、1周の平均速度も163km/h前後とGP開催コースの中で低い部類のコースだ。パッシングポイントが少なく、シケインやヘアピンのブレーキングが勝負のポイントとなる。マシン的にはストップ&ゴータイプだけに、コーナーでの旋回性、加速性能が問われるコースでもある。
以前のル・マンのフランスGPは天候がやや不安定なことが多く、MotoGPクラスでは2007年、2008年、2009年と3年連続でフラッグ・トゥ・フラッグレースとなり、2012年と2013年も決勝はウエットコンディションとなったが、2014年、2015年、2016年、2017年と、ここ数年はドライコンディションでレースが行なわれている。
昨年のMotoGPクラスではマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)が優勝、2位にヨハン・ザルコ(ヤマハ)、3位にダニ・ペドロサ(ホンダ)が入賞した。
Moto2クラスではフランコ・モルビデリ(カレック)が優勝、2位にフランセスコ・バニャイア(カレックス)、3位にトーマス・ルティ(カレック)が入賞。Moto3クラスではホアン・ミル(ホンダ)が優勝、2位にアロン・カネト(ホンダ)、3位にファビオ・ディ・ジャンアントニオ(ホンダ)が入賞した。
ヨーロッパラウンドの初戦、ヘレスで開催された第4戦スペインGPは荒れたレースとなった。決勝ではマルク・マルケス(ホンダ)がレース中盤にトップに立つとその後、独走。第3戦アメリカズGPに続いて2連勝を飾った。
その後方ではアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)、ホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)、ダニ・ペドロサ(ホンダ)の3人が接戦の2番手争いを展開したが、レース終盤のバックストレートエンドで、ロレンソを交わしてドヴィツィオーゾが前に出た際に、ふたりがラインを外してふくらみ、そのインをついてペドロサが前に出ようとした瞬間、ラインを戻したロレンソとペドロサが接触。アウト側にいたドヴィツィオーゾも巻き込まれ、3台がそろって転倒してしまうアクシデントとなった。
スペインGP時点でランキングトップにつけていたドヴィツィオーゾがノーポイントに終わり、2勝を記録したマルケスがランキングトップに浮上。2位に入賞したヨハン・ザルコ(ヤマハ)が12ポイント差のランキング3位に浮上した。
3位にはアンドレア・イアンノーネ(スズキ)が入賞し、アメリカズGPに続いて連続表彰台を獲得、ランキングでも4位に浮上した。
マーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)はヘレスでは7位に終わったものの、ランキング3位をキープ。ノーポイントに終わったドヴィツィオーゾはマルケスから24ポイント差のランキング5位まで後退してしまった。
バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)はヘレスでは5位に終わったものの、ランキング6位に浮上。ただし、ヤマハファクトリー勢は昨年に続き、ヘレスではマシンの問題に悩まされる結果となった。ロッシは昨年のフランスGPではトップを争いながら転倒リタイアに終わったが、ル・マンでは過去6年間で2位に4回入賞しており、今レースで今シーズン初優勝の期待が高まる。
カル・クラッチロー(ホンダ)は2戦連続転倒によりノーポイントに終わり、ランキング7位に後退。ジャック・ミラー(ドゥカティ)がランキング8位に続き、ヘレスでは上位の脱落もあり、今シーズンベストの4位に入賞したダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)がランキング9位に浮上。ティト・ラバット(ドゥカティ)がランキング10位に続く。
ノーポイントに終わったペドロサはランキング11位、ロレンソはヘレスでは今シーズンベストの4番グリッドからスタートし、中盤まではトップ争いに加わったものの、アクシデントでノーポイントに終わり、ランキング20位とチャンピオンシップでは下位に沈んでいる。ただし、フランスGPの舞台となるル・マンはロレンソが得意とするコース。MotoGPクラスでは最多となる通算5勝を記録しており、巻き返しに期待がかかる。マルケスが2014年に1勝を記録、昨年はビニャーレスが優勝を飾っている。また、序盤の4戦で2回2位に入賞し、ランキング2位につけるザルコにとってはフランスGPはホームレース。昨年はMotoGPクラス初表彰台となる2位に入賞しており、MotoGPクラス初優勝の期待が高まる。
中上貴晶(ホンダ)はアルゼンチンGP以降3戦連続入賞を果たし、スペインGPではMotoGPクラスベストとなる12位に入賞した。ル・マンはMoto2クラス時代の2013年にポールポジションを獲得した経験のあるコースでもあり、さらなる上位入賞に期待がかかる。