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Arnage Racing スーパーGT第2戦富士 レースレポート

2018年05月17日 10:31  AUTOSPORT web

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EXE AMG GT3
SUPER GT Rd.2 Fuji 500km 2018/5/3~5/4

痛恨のミス続発! 500kmのロングレースは、完走するも不完全燃焼の20位で終了

 ゴールデンウイークに開催される富士ラウンドは500kmのロングレース。Arnage Racingは加納、安岡両選手に加え、強力な助っ人として迎えた坂本選手の3選手によるドライバー陣で臨むことになった。
 
 3週間のインターバルの間に、ガレージでは開幕戦で傷ついた外装部品を修復し、長距離レースに備えて細かいチェックを行った。また、3月の公式テストでのデータを元に、ストレートの長い富士のコースに向けて、セットアップが見直された。
 
 開幕戦では下位からのポジションアップでドライバーズポイントまで獲得し、チームの士気は上がっていた。メイストームが予想される気がかりな天気予報ではあったが、チーム一丸の完走を目指すArnage Racingは、期待を胸に御殿場入りした。

May 3rd  Qualifying Day
曇り/ドライ 気温:21度→21度/路面温度:34度→35度
入場者:3万1300人

 予選日の前夜から明け方にかけて、富士スピードウェイのある御殿場は、発達した低気圧の影響で嵐のような風雨に見舞われた。公式練習の開始予定時刻の頃になると雨は上がったものの、今度はコース上に濃い霧が立ち込めるコンディションとなり、結局午前中の走行は視界不良のためキャンセル。予選日のスケジュールが、急遽大幅に変更されることとなった。
 
 午後になると青空が見え始め、コンディションはようやくドライへ。午前中に行われる予定だった公式練習が、12時50分から30分間に短縮されてスタートした。チームは短い走行時間を加納選手と坂本選手の慣熟に充て、両選手はマシンのフィーリングをチェック。マシンは公式テストからのデータを踏まえてのセッティングが功を奏し、非常にバランスよく仕上がっていることが確認された。

 30分間の公式練習に続き、14時45分から20分間の予選が、従来のQ1とQ2によるノックアウト方式でなく1セッションのタイムアタック方式に変更されて行われた。チームは翌日の決勝スタートを想定して坂本選手のアタックで予選に臨んだ。一発勝負を託された坂本選手が満を持してコースに出て、慎重にタイヤに熱を入れながらチャンスを伺う。
 
 しかし、コースコンディションが合わず、タイムを伸ばすことができないまま予選は終了。6Lap目に出した1’38.103がレコードされ、翌日の決勝は、22番手からと開幕戦同様、後方からの追い上げとなった。

May 4th Race Day
曇/晴/ドライ 気温:18度→19度/路面温度:36度→25度
入場者:5万5000人

 決勝日の朝は快晴。気温はぐっと下がったが、雲一つない青空に富士山がくっきりと映える、絶好の観戦日和となった。富士スピードウェイには、朝早くから大勢の観客がつめかけ、今年も5万人を超える観衆がスタンドを埋めつくした。
 
 2ピット3スティントが義務付けられているこのレースでは、ピットワークが要となる。午前中、チームはピット作業時間の短縮を目指してドライバー交代の練習を繰り返し行い、決勝に備えた。
 
 13時05分、決勝前のウォームアップ走行が始まった。安岡選手と坂本選手は交代でコースへ進み出て、マシンとタイヤのフィーリングを確認。決勝を見据えたピットストップの練習も順調に行い、長丁場のレースに向けての準備は万端整った。
 
 定刻の14時40分、静岡県警の白バイ部隊とパトカーが先導するパレードラップのあと、500km、110周を競う富士ラウンドの幕が切って落とされた。スタートドライバーを任された坂本選手は22番グリッドからレースを開始。坂本選手は一旦ポジションを落としたものの、安定した走りで浮上のチャンスを狙って走行を続けた。
 
 前方を走行するマシンのトラブルなどもあり、坂本選手は19周目には21位、26周目には17位と、徐々にポジションを上げていく。30周を過ぎるとルーティンのピットインをするチームが多くなってくるなか、坂本選手は1分40秒前半のタイムをキープ。タイヤが保ちそうだという坂本選手のコメントに、チームは坂本選手を41周まで引っ張り、42周目、見かけ上4番手でピットに呼び戻した。
 
 ところが、レースのシナリオを大きく狂わせるアクシデントが待っていた。坂本選手がピットストップ位置を2メートルほど超えてマシンをストップさせてしまったために、給油ホースが届かない。「下げろ、下げろ」との監督の指示に、メカニックが慌ててマシンを前から押し、ようやく給油がスタートしたが、チームはこのオーバーランで貴重な20秒を失ってしまう。
 
 タイヤを4輪とも交換し、坂本選手からステアリングを渡された安岡選手がコースに戻った時には、EXE AMG GT3 は21位と大きく順位を下げていた。それでも110周を競うレースはまだまだ前半戦、安岡選手は落ち着いたペースで巻き返しを図るべく走行を始めた。
 
 気温は徐々に下がり始め、路面温度は30度を切っていた。コースコンディションとタイヤがぴたりと合ってか、安岡選手のドライビングは1分40秒台前半を軸にだんだんと冴えていき、上位マシンのアクシデントなども手伝って55周目には18位に浮上。2度目のピットインをするチームが増えてくる62周目には、見かけ上の順位が14位と次第にポジションを上げていた。
 
 タイヤは非常に安定しており、安岡選手は2度目のピットインが近づく70周を超えたあたりで1分39秒を何度かマーク。ピットイン直前の79周目にベストラップとなる1分39秒533を叩き出して、80周目でピットに戻り、給油のみの迅速なピットワークののち、第3スティント加納選手に交代した。
 
 18位でマシンをコースに復帰させて加納選手は、ひとつでもポジションを上げようとプッシュしながら走行をスタート。日が傾き、気温19度、路面温度25度と好調だった富士テストでのコンディションを思わせる。
 
「このままテストみたいな感じで走ってください」と監督からの無線を受け、加納選手は落ち着いたペースでゴールを目指していた。ところが残り周回数わずか13周となったところで、最後の落とし穴が待っていた。

 加納選手は2コーナーの出口付近で35号車と接触、危険行為と見なされて残り9周のところでドライブスルーペナルティを受ける。さらにその次の周回では冷静な加納選手らしからぬスピンを喫して、結局20位でチェッカーを受けた。Arnage Racingは500kmレースを完走したものの、レース前半のアクシデントからの流れを変えることができず、不完全燃焼のまま富士ラウンドを終了した。

レース後コメント

加納政樹
「岡山でせっかくいい流れで開幕できたのに、自分のスティントで冷静さをなくしてしまって、接触からのドライブスルーペナルティあり、そのあとスピンしてしまったのも、まあ、実際タイヤがきつくなってたのもあるんですけど、冷静じゃなかったせいやと思う」

「ちょっとしたミスがレースを台無しにしてしまうので、次はちゃんと走りを見直して、鈴鹿はやっすーとふたりなんで、また仕切り直して頑張っていこうと思いますので、応援よろしくお願いします」

安岡秀徒
「準備不足でレースをするとこうなるんだなっていう、典型のようなレースになってしまいました。岡山の時はかなり準備万端でレースをしたという感覚があったんですけど、坂本さんのオーバーランについては、ピットインのルーティンを話し合ってたのかなって」

「僕らは開幕戦を経ているので慣れもあったんですが、坂本さんを交えて段取りを確認しておくべきでした。予選でまずまずのアタックをしてあの位置だったので、レースペースはきっとしんどいんだろうなって思ってました。だからこそ、きっちりやるしかなかったんですけど、流れが悪くなったのが最終的に、あの加納さんのペナルティにまでつながってしまったのかなって」

「とはいえ、そんな中でも完走できて全戦完走につながったことと、あと悪いことが今回全部出て、課題もはっきりしたと思えば、そういう意味では良かったと思います」

「僕的には僕の役割はきっちりできたと思うのですが、今回は加納さんのサポートをしなかったので、もっと積極的に関わっていかなければと思っています。とにかく結果も内容も良くなかったので、もうちょっと立て直したいなっていうのが本音です。幸い次戦はすぐなので、頑張りたいと思います」

坂本祐也
「もうちょっとポジションを上げたかったんですけど、序盤、ストレートで速いクルマに抜かれてしまって、そこで順位を落としてしまったのが流れ的に良くなかった。ペース自体も車のバランスも悪くはないんですが、上位チームと、おそらく1秒くらいの差があるで、そこを改善していかないと、富士に関しては正直厳しいと感じました」

「ピットインの時にオーバーランしてしまって、ロスがあったのは申し訳なかったですね。今度お世話になるのは8月の800キロレースなので、そういった小さなミスをなくして、クルマの方も安岡くんと加納さんにレベルアップしてもらって、次の富士ではもう少し上で争えるレベルになってれば、僕も頑張って貢献したいなと思いますので、よろしくお願いします」


 応援してくださった皆さまには深く感謝しますとともに、今シーズンも変わらぬ応援を賜りますようお願い申し上げます。次戦鈴鹿ラウンドは5月19日~20
日に鈴鹿サーキットにて開催されます。何卒、引き続き応援のほど宜しくお願いいたします。