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渋川清彦、三浦誠己、岡部たかしら芸達者な役者が集結 『モンテ・クリスト伯』のただならぬ雰囲気

2018年05月17日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 『モンテ・クリスト伯』(フジテレビ系)の放送前のインタビューで、ディーン・フジオカは、アジアの歴史的背景の中で、どんな解釈で日本の『モンテ・クリスト伯』が描かれるのか楽しみにしてほしいと語っていた。


参考:第4話では少なめに 『モンテ・クリスト伯』ディーン・フジオカ登場シーンの絶妙なバランス


 5月10日に放送された第5話は、神楽清(新井浩文)の妻で入間の愛人だった神楽留美(稲森いずみ)が、本当は生きていた彼女の息子・安堂完治(葉山奨之)と、正体を知らぬまま身体を重ねる。パク・チャヌク監督作『オールド・ボーイ』を思わせる展開で幕を閉じ、大いに話題となった。主人公が長い期間監禁され、その間に思いもよらぬ人間関係が形成されてしまっていること、テーマが復讐という点など、『オールド・ボーイ』と『モンテ・クリスト伯』は共通点が多い作品と言えそうだ。


 本作は、今までは貴公子のような役柄をイメージする人も多かったディーン・フジオカが、ダークな面を見せていることも話題となっている。もちろん、朝ドラ出演の前には、映画『I am ICHIHASHI 逮捕されるまで』でダークな世界観に挑戦していて、本作のティザー映像を撮影した際、ディーンも市橋を演じたときの感覚を思い出したと語っている。また、そういった今作の世界観に一役買っているのが、脇を固める個性派俳優たちではないだろうか。


 第2話では、牢獄で出会う老人・ファリア真海として、田中泯が登場。ディーン演じる柴門暖にさまざまな知識や知恵を与え、語学を習得させ、資産の情報を与える。また、柴門暖が漁港で働いていたときに、彼の無実を最後まで信じる守尾漁業の社長を演じるのは、バラエティでのイヤミ課長としてもおなじみの木下ほうかだが、今回は人情派の温かいキャラクターを演じた。


 その後、柴門暖が牢獄から解放され、地元の漁港に戻って立ち寄った酒場にいるのは、塚本晋也監督作『六月の蛇』などに主演してきた黒沢あすかであるし、その酒場にやってくる飲んだくれの寺角類を、2018年前半だけでも出演作『神と人との間』や『パンク侍、斬られて候』などが次々と公開になり、日本映画には欠かせない存在である渋川清彦が演じている。本作には、暖の地元の先輩役として新井浩文が重要な役で出演しているが、渋川と新井といえば、映画『青い春』での共演も思い出される。


 柴門暖がモンテ・クリスト・真海となって投資会社社長となった後、彼の会社で秘書を務めるのは、映画『ディストラクション・ベイビーズ』や『火花』の三浦誠己である。女性で言えば、『99.9 -刑事専門弁護士- SEASON II』(TBS系)や月9『突然ですが、明日結婚します』(フジテレビ系)などにも出演していて、ドラマにも常連になりつつある岸井ゆきのも出演している。ドラマでは明るくてどこにでもいそうな女の子を演じることも多いが、本作では映画で見せるような、どこか鬱屈した影も感じさせる役で、今後もなにかドラマに一波乱起こしてくれそうな予感がする。


 第5話では、岸井ゆきの演じる入間未蘭の前に、祖父の遺言制作のために現れた弁護士役として岡部たかしも登場。山内ケンジがプロデュースする「城山羊の会」に数多く出演し、岸井とも『友だちのパパが好き』(こちらも山内ケンジが監督)で共演している。マンガレンタル「Renta!」のCMで、麻生久美子に「マンガいいよな」と言いながらも、「でもさ、仕事にメリットのある本も読んどかないと」といって、頭にポンッと本をぶつけ少々イラっとさせる上司を演じていた人と言えば、思い出す人もいるのではないか。


 こうした個性的で芸達者なバイプレイヤーたちが、このドラマの、どこかほかの作品とは違う、ただならぬ雰囲気を醸し出すことに一役かっているからこそ、本作を見逃せないのではないだろうか。後半も、まだまだこうしたクセのある役者たちの演技が見られそうだ。(西森路代)