2017年シーズンに歴代新記録となるERCヨーロッパ・ラリー選手権3連覇を飾ったカエタン・カエタノヴィッチが、いよいよWRC世界ラリー選手権に進出。今季後半戦からWRC2へのエントリーを開始する。
3年連続で最終戦を待たずしてERCタイトルを獲得してきたカエタノヴィッチは、この2018年シーズンに向けWRC2への参戦を目標に活動を続けてきた。しかし、不確実なスポンサー支援の状況を背景に、開幕からのエントリーを逃す形となっていた。
しかし、その地道な努力が結実する形で、6月のWRC第7戦ラリー・イタリア・サルディニアからWRC2クラスに参戦。ERC時代もともに戦った愛機、Mスポーツ・ポーランドのフォード・フィエスタR5でエントリーする。
「このサルディニアを皮切りに、当面は少なくとも4イベントでWRC2への参加を予定している」と、喜びを語ったカエタノヴィッチ。
「サルディニアが終わった直後に、僕らがどのラリーに参戦すべきかが正確に見えてくると思う。現時点では物事がすごく順調に推移しているので、何かを焦って決断を急いだりしたくないんだ」
同時にカエタノヴィッチは、今季のステップアップに向け活動予算の確保を進める際、オフを通じて「状況は絶望的だった」ことを明かした。
「僕は今、まったく新しい章をスタートさせている。それはまったく未知の世界であり、完全に異なる場所であり、まったく新しいステージだ。それは素晴らしい挑戦だよ」と加えたカエタノヴィッチ。
「WRC2でさえ、サポート体制が整ったワークスチームのようなエントラントと真っ向から組して戦うことは、僕の見方では厳しいと感じている。彼らはリソースだけでなく豊富な経験も有しているからね」
「僕はつねに高い目標を置いているけど、同時にそれほど生意気なことを言うタイプではない、とも思っている。この性格と謙虚さがERCに挑戦した際にはうまく働いたんだと感じているんだ」
2018年に入った年明けに、カエタノヴィッチは長年苦楽と栄光を共にしてきたコドライバー、ヤロスロウ・バランとペアを解消する決断も下している。2009年以来コンビを組んできたバランに代わるパートナーは「すべてが予算により切り詰められているわけではない」とし、近日中にもアナウンスできるだろうとしている。
カエタノヴィッチのキャリアで唯一のWRC参戦となった地元ポーランドでの2016年大会は、総合で16位、WRC2クラスで4位のリザルトを残している。
2018年シーズンのWRC2クラス最新事情は、ファクトリー支援のシュコダをドライブするポンタス・ティデマンドがドライバーズランキング首位を快走。そのチームメイトである“ターマックマイスター”の大ベテラン、ヤン・コペツキーがランキング2位につけている。