2018年05月16日 10:52 弁護士ドットコム
営業中、会社の車を路上に駐車していたら、警察に摘発されてしまい、反則金を支払うハメにーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに「会社に反則金を負担してもらうことはできないだろうか」と相談が寄せられた。
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就業規則では、違法駐車が摘発された場合に、従業員が反則金を全額負担することになっている。しかし、会社では営業中の駐車代が一切支給されないので、相談者のように違法駐車をする従業員は多いという。会社もこれを黙認しているようだ。
会社に反則金の負担をさせることはできないのだろうか。瀧井喜博弁護士に聞いた。
まずは道路交通法の観点から検討したい。反則金はドライバーである従業員が払うべきものなのか。
「確かに道路交通法上、一次的には運転手である従業員が負担すべきものです。ただし、違法駐車をした運転者が反則金を納付しなかった場合、車の『使用者』(車の権原を有し、車の運行を支配し、管理する者)である会社が、放置違反金を納付することになります。
ただし、運転者である従業員も、反則金を納付しなければ、起訴される可能性がありますので、無視するわけにはいきません」
では、従業員と会社との関係を考えたい。駐車代が自己負担となっていることについて、どうとらえればいいのか。
「営業のために必要な駐車代は、会社は営業により収益を上げている以上、そもそも本来会社が負担すべき費用です。ですので、そもそも一切支給されていないことがおかしいといえます」
では、反則金についても、就業規則に従業員の負担と明記していたとしても、自己負担にはならないということか。
「就業規則で従業員が反則金を全額負担することになっていたとしても、必ずしも有効とは限りません。また、従業員が反則金を支払うことについて、書面を作成していたとしても、労働者の自由な意思によるものではないとして、無効となる可能性もあります。
会社の業務命令に従うため、やむなく違法駐車した場合には、会社に反則金相当額の負担を求めることは可能でしょう」
実際、どのような点に注意すべきか。
「今回のケースとは異なりますが、駐車代に代わる反則金相当額が会社から供与されていた場合や、他に駐車に適切な場所があったにもかかわらず、あえて違法駐車をした場合は、会社に反則金相当額の負担を求めることはできないでしょう。
また、従業員が営業中に私用で放置した場合(例えば、営業中に彼女の家に遊びに行くため放置した場合等)、この駐車違反の反則金は本来従業員個人が負担すべきですので、会社に反則金相当額を負担させるべきではありません」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
瀧井 喜博(たきい・よしひろ)弁護士
「あなたの『困った』を『よかった』へ」がモットー。あらゆる「困った」の相談窓口を目指す、主に大阪で活動する人情派弁護士。平成30年4月末現在、事務所設立3期目にして、弁護士4名、事務局5名の合計9名の法律事務所を経営している。ずば抜けて楽しい職場環境の構築、拡大を目指して、日夜奮闘中。
事務所名:瀧井総合法律事務所
事務所URL:http://takiilaw.com/