海外駐在員や出張者に医療や安全サポートを提供しているインターナショナルSOSは5月15日、イスラム教の「神聖月(ラマダン)」期間中の職場での習慣やエチケットに関するアドバイスを公開した。
ラマダン期間中、イスラム教徒は毎日、日の出から日の入りまで飲食と喫煙を控える。今年はイスラム暦に従って5月15日頃から6月中旬までが予定されているが、期間中にイスラム諸国に渡航する場合、どのような点に留意すればいいのだろうか。
日中、ほとんどの飲食店は休業 渡航者はルームサービスの利用を
同社は注意すべきポイントを5点挙げている。1つ目は「公共の場での飲食・喫煙を慎むこと」。大半のイスラム諸国では、断食時間に公衆の面前や、移動中の交通機関や自家用車内での飲食・喫煙はマナー違反となっている。
特にサウジアラビア、ヨルダン、オマーン、アラブ首長国連邦では、宗教を問わず「公共の場での断食」の遵守は義務とされている。日中はほとんどの飲食店は営業していないため、渡航者はホテルのルームサービスなど指定されたスペースで食事を摂ることになる。
一方、エジプトなどの国では公共の場で飲食を控えることは儀礼的なものでしかないという。渡航前に現地の法律や慣習を確認しておくべきだろう。
2つ目は「肌の露出を抑えた服装をすること」。ラマダンはイスラム教徒にとって「信仰、謙虚さ、節制」の期間だ。一般的なルールとして、透ける生地、ノースリーブやミニスカートなど丈が極端に短い服、胸元が開いている服、体にフィットした服は控えるべきだ。
日中でも、非イスラム教徒は「ドアを占めた部屋」での食事ならOK!
3つ目は「職場のエチケットに配慮すること」。イスラム諸国への出張者は、ラマダンに伴う勤務時間の短縮に留意すべきだろう。同社は、重要な会議は「社員の疲労度が低く、集中力が高い午前中に設定するのがベスト」としている。
またランチやコーヒーを摂りながらの会議はNG。非イスラム教徒は「ドアを占めた部屋」での飲食は許されているが、断食中の人の前では避けるべきだろう。さらに日中に軽食を勧められた場合、辞退するのが礼儀正しい振る舞いとみなされている。
4つ目は「レストランや娯楽施設の営業時間を確認すること」。日没までの1時間は交通量が増え、事故発生率がピークになる。同社は「この時間帯の不要な移動は控えてください」と呼びかけている。
この時間、大半のレストランは、日没後に初めて摂る食事「イフタール」の準備と提供で忙しくなるため、この時間帯の夕食の予約は避けたほうがいいようだ。
そして5つ目は「現地の公共エチケットを遵守すること」。公共の場での愛情表現、音楽を大音量で聴くこと、ガムを噛むことは慎むべきだろう。レストランでのイフタールに招待された場合、アルコールと豚肉料理の注文は控えるべきだ。国ごとのアドバイスは公式サイトに掲載されている。