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「2018年導入の新規定に満足」とブランパンGT代表。永続的なシリーズ運営を目指す

2018年05月15日 17:41  AUTOSPORT web

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11のマニュファクチャラーが集うエンデュランスカップ第1戦モンツァ
ブランパンGTシリーズを運営するSROモータースポーツグループ代表のステファン・ラテルは2018年からブランパンGTに投入した新予選フォーマットや、エンデュランスカップにおけるプロクラスの台数制限について、概ね満足していると語った。

 今シーズン、ブランパンGTでは予選フォーマットを変更。スプリントカップについては第1ドライバーがレース1のグリッドを決める予選Q1を、第2ドライバーがレース2のグリッドを決める予選Q2を担当する方式が採用された。

 また、エンデュランスカップについては登録されている全ドライバーがアタックを行い、3名が記録したベストラップのアベレージによってグリッドが決定される。

 また、SROは「プロ-アマクラスの個性を保つ」ため、プロドライバーのみで構成されるプロクラスのエントリー上限を26台に制限する策も講じている。

 これらの変更は、グリッド上からアマチュアドライバーが減少しつつある問題への対策となっており、ラテルによれば予選フォーマット変更については関係者から支持されたとのことだ。

 さらに、エンデュランスカップでは、ピットストップに関してもレギュレーションを変更。従来のピットストップ禁止時間帯を設ける方法から、最低ストップ時間を設定する方式が採用されている。

 SROのラテル代表は「(予選システムは)非常に好意的に受け入れられている」と語った。

「ドライバーたちは自分たちのパフォーマンスに見合った場所からレースをスタートするため、非常にうまくいっている」

「それに、エンデュランスカップにおけるピットストップの新ルールも非常に好評だ。不満はまったく聞こえない。我々はシステムを完全に変えたのだ」

「チーム同士の競争に差が生まれすぎてしまうと、チャンピオンシップにとっては大きな不利益となる。この問題を防ぐためにバランスを取る必要があるんだ。さらにコストも抑えながら、観客に見応えあるレースを提供しなくてはならない」

「我々はゾルダーとモンツァでレースを見てきたが、観客にとって良いものになったし、プロフェッショナルに進めることができた。一方でチームにとっては合理的だった。終わってみれば、これこそ我々が求めているものだった」

■新フォーマット導入はシリーズ消滅を防ぐため

 ラテルはまた、アマチュアドライバーがシリーズへ参戦できるよう、プロクラスへのエントリー台数を制限する施策を進めた。

 今シーズン、プロクラスへの最大エントリー台数は26台となっており、(エンデュランスカップ開幕戦の)モンツァでは24台が名を連ねた。これは総エントリー台数の半数には満たない台数ではあるが、残りのエントリーはプロ-アマ、アマ、シルバーの3クラスで構成されているため、クラス単体では最大勢力を誇る。

「プロクラスのエントリーについても、本当に満足している」とラテル。

「これで4つのクラスが存在することになる。人によっては多いと思うかもしれないが、各クラスではしっかりとしたレースが行われている」

「アマクラスについては、昨年から台数が2倍に増えているんだ。私は以前から、ブランパンGTはアマチュアとプロフェッショナルの混合シリーズだと発言してきた」

「こういった策を講じなければ、シリーズは消滅の危機に瀕していたかもしれない。今はアマチュアドライバーからの信頼を取り戻せたと思っているよ」

「彼らにはここを“ホーム”のように感じてもらいたいし、それが我々にとってもっとも重要なことだ」

■強豪チームの大所帯化によるエントリー寡占を警戒

 一方でラテルは一部の大規模チームが成長を遂げることも警戒しており、1チームあたりの最大エントリー数を4台に制限したいとの考えも示した。

 現在、シリーズで最大勢力を誇るのはメルセデスユーザーのAKKA ASPで、エンデュランスカップに5台、スプリントカップに4台のAMG GT3を投入している。

 また、スプリントカップのグリッドのうち半数はAKKA ASP、グラッサー・レーシング・チーム、ベルジャン・アウディ・クラブ・チームWRTの3チームによって構成されている。

「昔、イギリスF3で目にしたのだが、カーリンが参入すると、ドライバーたちはカーリンから参戦したがり、それができないと分かると他のシリーズへ行こうとしていた」とラテル。

「(AKKA ASPチーム代表の)ジェローム・ポリカンドはフランスの国内選手権でアマクラスを戦っていた。そこからチームを大きく成長させた後、ブランパンに乗り込んできたんだ」

「フランスの国内戦からインターナショナルレースへステップアップするのは大きな飛躍だっただろう。彼のチームが成長したことをとてもうれしく思う。1チームで4~5台のマシンを抱えている。素晴らしいことだし称賛したい」

「一方で成功には見返りを求めるものだ。成功した者、全員にその権利がある。しかし、そのまた一方で、ひとつのチームによって他チームが排除されるのを見たくはないんだ」

「アテンプトのようなチームがWRTに挑む姿を見るのはうれしいものだ。それに去年はサンテロックがスパで勝利しているし、そのほかのメルセデスユーザーも上位争いをしている。良い状況だと思うよ」

 こう語るラテルだが、自身が理想とする1チームあたり最大4台というエントリー上限について、今後にも目を配りながら考えていきたいという。

「現時点で問題はないが、原則として1チームあたり4台を超えるべきではないだろうね。(制限を設けないと)後々、エントリー台数が増えすぎているということになりかねない」