データ分析会社がフェイスブックの個人情報を不正に利用していたことを受け、文房具店の銀座・伊東屋は、5月16日をもってフェイスブックの公式ページを閉鎖すると発表した。
同社は14日、「皆さまへ 大切なお知らせ」と題してフェイスブックページに次のように投稿した。
「このたび、7年間続けてまいりました『伊東屋facebook』を終了することといたします。これまで、伊東屋のことをより広く、深く知っていただくために活用してまいりましたが、残念ながら、facebookの集めた個人データの活用方法に伊東屋として賛同できないために、終了を決断いたしました」
「企業はそもそもSNS疲れを起こしている」
伊東屋は1904年創業の文房具店。銀座に本店を構えるほか、都内6店舗と大阪・京都に1店舗ずつ展開する。
フェイスブック上の個人情報不正利用は今年3月に発覚。データ分析会社ケンブリッジ・アナリティカがフェイスブック利用者8700万人の個人情報を不正に取得していたのだ。こうした情報は2016年の米国大統領選挙にも利用されたとみられている。
公式ページを閉鎖するという動きについて、ITジャーナリストの井上トシユキさんは、「そもそも企業はSNS疲れを起こしています」と指摘する。
「SNSには炎上の危険性が付きまとう一方、労力を割いて発信しても売り上げにつながりにくい部分があります。多くの企業はそもそもSNSと距離を置こうとし始めているのではないでしょうか。そうした中、フェイスブックが個人情報の流用をきちんと管理できていないという問題が明らかになったわけです。伊東屋だけでなく、他にもフェイスブックから離れようとしている企業はあるのではないでしょうか」
今後、伊東屋は公式サイトやツイッターで情報発信をしていくという。フェイスブックの公式ページには、「残念ですが、意思を持って運営・経営されているところに感銘いたしました」「勇気ある決断に敬意を表します」と同社の決断を支持するコメントが多数寄せられている。