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米コーネル大学で女子学生が抗議のストリップ 「下着姿になる必要は?」疑問の声も

2018年05月15日 04:02  Techinsight Japan

Techinsight Japan

女子大生、教室内でなぜいきなり下着姿に?(画像は『The Sacramento Bee 2018年5月10日付「Cornell professor questioned a student’s shorts. So she gave her thesis in underwear」』のスクリーンショット)
米・名門私立の「コーネル大学」で、服装に関してある女性准教授と意見の食い違いをみた女子学生が、その抗議として自分が行うプレゼンテーションの直前に衣服を脱ぎ捨てた。下着姿となった女子学生。こうした衝動的な行動はインパクトこそあるものの、果たしてどれほどの共感や支持を得られるものなのであろうか。

ニューヨーク州イサカ市にある名門コーネル大学のとある教室で今月5日、難民および難民のためのリハビリテーションに関する論文を仕上げた4年生のレティシア・チャイさんが、あられもない姿でプレゼンテーションを行い、Facebookでもライブ配信されたことから話題は瞬く間に世界に広まっていった。その場では涙すら流したチャイさん。下着姿がどれほど悩殺的なものであったかは別として、なぜ彼女はこのような姿になってしまったのか。

実はこのクラスにおいて、彼女の大胆すぎる行動に驚愕の反応を示す学生はいなかった。それは彼女が「次のプレゼンテーションの際、私は自ら服を脱ぎ捨ててあの教授に抗議をする」とSNSで予告していたからである。トラブルの発端はその数日前、パフォーミング&メディア・アーツ学部のレベッカ・マッゴール准教授のクラスでプレゼンテーションを始めた彼女に対し、同准教授が「ショートパンツの丈が短すぎる」と注意したことにあった。その時の様子についてチャイさんは大学新聞の『コーネル・デイリー・サン』にこう明かしている。

「長袖のボタンダウンシャツの下にジーンズをカットしたショートパンツを穿いていたんだけれど、先生ったら『あなた、プレゼンテーションにそんな服装で挑むなんて正気なの?』と言うわけ」と話す。マッゴール准教授はさらに彼女がそのスタイルで男子の注目を集めようとしているとも批判した。そして、ある男子留学生も「プレゼンテーションをする者は控えめな服装をする、これは道徳的義務だと私も思います」と同調したことからチャイさんは憤慨して教室を出て行ってしまった。

チャイさんの退出後、学生たちの意見にひたすら耳を傾け、頷きながら受けとめていたマッゴール准教授。パブリック・スピーキング学を教える彼女は、服装もプレゼンテーション評価の重要ポイントとなることを普段から指導してきたものの、「学生たちに何を着るべきだ、何を着るのがふさわしいなどと強制的なことを話したことはありません」と大学新聞の編集部に対して説明。動きがラクな服装、シューズを自由に選んでよいと言われている学生たちだが、「それでもプレゼンテーションの時くらいは人前で話すという状況にふさわしい外見を考える。このこともプロフェッショナリズムの1つです」としている。

この件の後、チャイさんはFacebookのページに思いの丈を綴った。それに対して同じ教室にいた学生たちからはチャイさんの気持ちに寄り添い闘う気持ちへの支持を示すも、「プレゼンテーションを素晴らしいものにするためにも、やはりそれなりの身なりが大事という気もします」といったメッセージが届き、チャイさんはついにページを削除してしまった。なかなか自分の思いを理解し、同調してくれる仲間が現れないことから悔しさの限界に達したのであろう。

チャイさんは「『あなたのお母さんは娘の選ぶ服についてどのように考えているのでしょうね』と嫌味を言ってきた先生に、さらに腹が立ちました。『私の母はフェミニスト、ジェンダー、セクシュアリティが専門の大学教授です。娘がショートパンツを穿こうが構わないと言ってくれます』と答えてやったけれど」と話している。こうして5日、彼女はリベンジの気持ちを膨らませてプレゼンテーションに再挑戦した。Facebookライブ配信用のカメラは、トラブルが起きたあの時と同じ服装で入室する彼女をしっかりと捉えていた。

「パパ、ママ、ハロー。時差のせいでかなり遅い時間でしょうに、ずっと待っていてくれてありがとう。水曜日、私は他人にとって心地よく感じられる外見に関する疑問を投げかけられたの。私のような人がほかにもいないか、いたら私たちで連帯を組まないかとSNSで呼びかけたわ。こんなナンセンスな話、あとどれくらい我慢しなきゃならないのかしら。こんな苛立ちをぶつけた私に大量のメッセージが届いたわ」とカメラに向かって話すチャイさん。怒りをあらわに、涙すら浮かべながら「私は女性であることを超え、Letitia Chaiという個人を超え、服を脱ぐことでひとりの人間として新たなステップを踏み出すわ。皆もどう? 服を着ない素の人格を互いに認め合いましょうよ」と訴え、教室内の約半分がそれに従ったところでチャイさんは淡々とプレゼンテーションを開始した。

「ここアメリカでは表現の自由、個性の尊重が優先される。外見より内面で勝負すべき」と主張したいのであろうチャイさん。だが成人した以上、然るべき時や場所では服装や髪型を考えられる人間を目指したいもの。大事なのは、ストリップという極端な抗議方法を思いついたところで肝心のプレゼンテーションがより輝いたわけではないということ。ある者は下着姿の彼女に破廉恥で安っぽいと感じたかもしれないし、ある者は心の中で嘲笑し、またある者は彼女の衝動的で激しい性格に引いてしまったかもしれないのだ。とはいえ彼女はまだ20代、こんな出来事も青春の1ページとしてまだ笑って許される年齢である。

画像は『The Sacramento Bee 2018年5月10日付「Cornell professor questioned a student’s shorts. So she gave her thesis in underwear」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)