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チームHRC高橋巧、オートポリスはドライで苦戦。「ウエットの方が勝負できると思った」/全日本ロード

2018年05月14日 17:31  AUTOSPORT web

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序盤は「作戦通りの展開」だったという高橋巧だが、終盤、スリックタイヤ勢の追い上げを受けた
波乱のレース展開となった全日本ロードレース選手権第3戦オートポリス、チームHRCの高橋巧は土曜までのドライコンディションで苦戦していた。雨と霧が立ち込めた決勝日について、高橋巧は「ウエットレースの方が勝負できると思っていた」と言う。

 前戦鈴鹿で、高橋巧は中須賀克行(ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム)と優勝を争った。最終的に2位に甘んじたが、それでも中須賀との差は「確実に詰まっている。今回の反省を活かして、次は勝ちたい」と語り、オートポリスでの優勝に向けて意気込んだ。

 だが、オートポリスで高橋巧はドライコンディションでのセッティングに悩んでいた。快晴、ドライコンディションで行われたノックアウト方式の予選では6番手。コースレコードを更新してポールポジションを獲得した中須賀からは約2秒差のタイムだった。

「ドライでは、まだ、ベストなセッティングが見つかっていなかったので、ウエットレースの方が勝負できると思っていました」

 予選日から一転、雨と霧が立ち込める天候となった決勝日について高橋はそう振り返る。この日、午前中に予定されていたフリー走行は天候により時間が変更となり、決勝レース前に行われた。このフリー走行は濃霧により赤旗中断、そのままセッションが終了となったが、このとき高橋巧はトップタイムをマークしている。

「今回のような微妙なコンディションでは自信がありました。朝の(決勝前に行われた)フリーで、ウエット路面での調整がうまくいき、いい感触を得ていました」

 その言葉通り、高橋巧は決勝レースで、6番グリッドから好スタートを切る。1コーナーへの飛び込みでポールポジションスタートの中須賀と争い、1コーナーの立ち上がりではトップを奪取。そのまま中須賀、渡辺一樹(ヨシム・ラスズキMOTUL)、秋吉耕佑(au・テルル・MotoUP RT)らとともにトップ集団を形成してレースをリードした。

 さらに7周目にトップに躍り出ると、高橋巧はそのままじわじわと2番手以下の中須賀、渡辺一樹を引き離す。「決勝も作戦通りの展開で、前に出ることができた」と高橋巧。

 しかし惜しむらくは、徐々に乾き出した路面コンディションと、選択したレインタイヤだったというところだろうか。路面コンディションが変化するとともに、スリックタイヤ装着勢が一気にポジションを回復する。

 8周目時点で、トップ高橋巧とスリックタイヤを履き後方から猛烈に追い上げていた渡辺一馬(カワサキ・チームグリーン)との差は約10秒。ただ、そのペースは1分59秒台の高橋巧に対し、1分56秒台の渡辺一馬という、圧倒的な差があった。

 高橋巧は11周目に渡辺一馬、次いで松﨑克哉(カワサキ・チームグリーン)、高橋裕紀(モリワキMOTULレーシング)にも交わされ、それでも4位というレインタイヤ勢のなかではトップのポジションでレースを終えた。

 この路面コンディションのなかでは、「スリックタイヤを選択したライダーたちについていくことができなかった」と高橋巧。それでも「スタート時の判断としては間違ってはいなかったと思います」と言う。

 チームHRCの宇川徹監督も「スタート時には雨が降る予報が出ていた」と言い、「この雨が、予報では、レース中に来るはずでしたが、山の天気を判断することは難しかったと思います」と語っている。それほど天候、タイヤの判断が困難な状況だったのだろう。

「このコンディションでのデータを残すことができましたし、これを、次のレースに活かせるようにしたいと思います」

 そう語る高橋巧のポイントランキングは現在3位。今大会で9位に終わったトップの中須賀との差を前戦より6ポイント詰め、28ポイント差となった。次戦は前半戦ラストともいえる大会、スポーツランドSUGOでの2レース。後半戦に向けて重要な一戦となるだろう。