長野県安曇野市にあるうどん屋「蛞蝓亭(なめくじてい)」で5月13日、貸し切り予約を無断でキャンセルされるというトラブルが起きた。予約をしていたのは国際信州学院大学の教職員50人。予約時間を過ぎてからキャンセルされ、キャンセル料を請求すると逆切れされたという。「蛞蝓亭」はツイッターで「二度とこないでください」と怒りを露わにしていた。
準備していた料理が無駄になった「蛞蝓亭」に対して、「今の教職員はどこかネジが外れてるとしか思えない」「人に教える立場の人間が何をやっているんだ」と”マジレス”する人もいた。しかし、国際信州学院大学も蛞蝓亭も、実在しない架空の存在だ。
架空の大学サークルが「当会はドタキャンは絶対にしません!」と呟く細かさ
国際信州学院大学は、2018年1月にネット掲示板「5ちゃんねる」のユーザー達の手で作られた”ネタ大学”だ。教員一覧には、信州リンゴについて研究する「コサックダンス吉村」や牛糞の研究をする松本ふじみらが掲載されているが、もちろん架空の人物だ。うどん屋「蛞蝓亭」もネタの一環として作られた架空の飲食店だと思われる。
実在しないのは同大や蛞蝓亭だけではない。ツイッター上には、同大の学生や教員の松本ふじみ、コンピューター同好会やキンボール同好会などのアカウントが存在している。コンピューター同好会は、蛞蝓亭に対して、
「晩飯やうちの会の打ち上げでいつもお世話になっているお店でまさか無断キャンセルが発生するとはショックですね。当会はドタキャンは絶対にしません!」
とツイートまでしている。かなり手の込んだネタだといえよう。
一連のネタツイートに騙されて後から気が付いたユーザーからは、「ほんとかと思いました。やめてほしい」「久々に釣られてしまいました」といった声が上がっていた。また「実際にキャンセル被害に遭った飲食店、本気の善意で心配した人達の心情を踏み躙るのはどうかと…」とやりすぎだという意見も出ていた。
ネタにする側は「ひっかかる人は『情弱』くらいの感覚」
今回の騒動について、ITジャーナリストの井上トシユキさんは、「2ちゃんねるには古くから同じようなネタがあります。ネタにしている側からすれば、ひっかかる人は『情弱(情報弱者)』くらいの感覚なのではないでしょうか。そもそも飲食店の名前に『なめくじ』を使うなんて普通はありえませんから、その時点で冗談だと気付いてほしいというところでしょう」と話す。
ここまでネタツイートが話題になるのは、若い人や最近になってネットを始めた人が2ちゃんねるの文化を知らないからではないかともいう。
「このツイートは4万回以上リツイートされています。全員が信じているとは思えませんが、中には本気にしている人も多い。2ちゃんねるがネタの宝庫だったことを知らない人が増えているのだと感じます」