2018年のニュルブルクリンク24時間を制し喜ぶ912号車ポルシェのリエツ、ピレ、マコウィッキ、タンディ 第46回ADACチューリッヒ24時間レース(ニュルブルクリンク24時間レース)は5月13日、決勝レースの赤旗中断が現地時間14時に解除され、1時間30分の戦いが展開されたが、ここで逆転しトップに立ったマンタイ・レーシングの912号車ポルシェ911 GT3 R(リヒャルド・リエツ/パトリック・ピレ/フレデリック・マコウィッキ/ニック・タンディ)が優勝を飾った。
深夜2時頃から雨が降り、いったんは小康状態だったものの、夜が明けた頃からふたたび雨が降りはじめたニュルブルクリンク24時間。レースは終盤を迎えていたが、11時59分、レース中断を告げるレッドフラッグが提示されていた。
しばらく霧は深いままで、13時頃にメインストレート上の霧こそ薄くなったものの、強い雨が降るなかリスタートが告げられた。13時45分、ふたたびグリッドに並べられたマシンがフォーメーションラップに出るが、コースは完全にヘビーウエット。そのなかで残り1時間30分の戦いが展開されていった。首位に立っていたメルセデスAMGチーム・ブラックファルコンの4号車メルセデスと、2番手の912号車ポルシェは同一周回。3番手争いも4台が同一周回という展開だ。
グランプリコース周辺が非常に霧が濃い状態だったが、中断時トップの4号車メルセデスを駆るアダム・クリストドロウは、ハイペースで同一周回の2番手だった912号車ポルシェを駆るマコウィッキとの差を広げようとするが、なかなか2台は差がつかない。また、007号車アストンマーチンとブラックファルコンの2台のメルセデスAMGの間でも、激しい表彰台圏内の争いが展開されていった。
2台によるトップ争いは129周目の1コーナーで決した。ドッティンガー・ホーエからスリップストリームにつけたマコウィッキは、グランプリコースに入りふたたびスリップへ。1コーナーでアウトにマシンを振ると、ギリギリまでブレーキングを遅らせ、クロスラインでアウトからオーバーテイク! 2台は接触し姿勢を乱すが、わずかなカウンターステアで立て直したマコウィッキに対し、クリストドロウはハーフスピンを喫してしまった。
あきらめないクリストドロウは猛プッシュでマコウィッキを追撃するが、その後ガードレールにヒットしてしまい、マコウィッキとの差は3秒にまで広がる。一時ふたたび差を詰めたものの、最後はジワジワとギャップが広がった。
トップを守ったマコウィッキはそのままフィニッシュ! 現行型のポルシェ911 GT3 Rにとって最後のニュルブルクリンクで、ポルシェに嬉しい勝利をもたらした。また、マンタイ・レーシングの優勝は最多記録を更新する6回目となる。2位はブラックファルコンの4号車メルセデスAMGという結果となった。3位争いは、ブラックファルコンの2台のメルセデスと、007号車アストンマーチンの争いとなったが、5号車メルセデスがこれを制し、表彰台の両脇をメルセデス勢が固めている。
SP-PROクラスに参戦するTOYOTA GAZOO Racingの土屋武士/松井孝充/中山雄一/蒲生尚弥組56号車レクサスLCは、明け方にグランプリコースで雨に起因するエンジントラブルに見舞われ大きく順位を落としたものの、しっかりと総合99位でフィニッシュ。目標を完遂し、喜びに沸いた。
一方、SP3Tクラスに参戦するスバル/STIのカルロ・バンダム/ティム・シュリック/山内英輝/井口卓人組90号車スバルWRX STIは、序盤のトラブルを克服した後はウエットコンディションにも助けられ快調に周回していたものの、残り1時間ほどというところで、電気系のトラブルでストップ。しかし必死の作業でふたたびコースインし、総合62位/SP3Tクラス優勝という結果を残した。
また、SP8クラスに参戦したNovel Racingの佐々木孝太/吉本大樹/ドミニク・ファーンバッハー/マリオ・ファーンバッハー組42号車レクサスRC Fは小さなトラブルを抱えながら、ドライバーたちが好ペースで周回。総合45位/クラス2位、43号車レクサスIS F CCS-Rの東徹次郎/小山佳延/松井猛敏/佐々木孝太組も順調に走行を重ね総合46位/クラス3位と表彰圏内を獲得している。梅本淳一と奥村浩一が乗り込んだ125号車ルノー・クリオも、総合90位/クラス5位でフィニッシュした。