インディアナポリス・モータースピードウェイのロードコースで行われたインディカー・シリーズ第5戦インディカーGPは12日に決勝レースが開催。ポールポジションからスタートしたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が2年連続で勝利した。
インディカー史上最多のポールポジション獲得数はマリオ・アンドレッティによる67回。歴代2位はAJ.フォイトの53回。それらに迫る51回目のPPを2018年のシリーズ第5戦インディカーGPで獲得したのがウィル・パワー(チーム・ペンスキー)。
エリオ・カストロネベスとのタイ記録から抜け出して単独3位のポール獲得者となったパワーは、インディアナポリス・モータースピードウェイのロードコースで行なわれた決勝でも安定した速さを披露し、勝利のチェッカーフラッグまで走り抜けた。
パワーが待ち望んでいた今季初優勝は、彼のキャリアにおける33勝目。インディカーの最多勝利数はPPと奇しくも同じの「67」なのだが、こちらのレコードホルダーはAJ.フォイト。ポールとは反対にこちらの2番手はマリオ・アンドレッティの52勝となっている。
今日、パワーはキャリア33勝目をマーク。アル・アンサーJr.と並んでの歴代8位にあとひとつ、歴代7位のボビー・アンサーまで2勝に迫った。
2014年チャンピオンのパワーは、今年は開幕から2番手、3番手、2番手、2番手とポールポジションにあと少し手が届かない予選が続き、イライラしていた。レースとなると更にリザルトは悪く、2位が1回あるものの20位以下は2回ある惨憺たる状況。今週末に踏ん張らないとチャンピオン争いは諦めさせられそうな雰囲気が漂っていた。
前戦バーバーでは雨の中で単独スピン。大き過ぎるミスを冒したことで逆に開き直れたのか、インディカーGPではプラクティスから伸び伸び走ってプラクティスでは2セッション続けて最速ラップを記録した。
予選でファイナルに進むとパワーは2セットのレッドタイヤで1ラップずつアタックする作戦を採用、2セット目でベストを記録して今季初、インディアナポリスのロードコースで3回目のポールポジションを獲得した。
レースでもパワーの堂々たる戦いぶりに揺るぎはなく、序盤からトップをキープ。1回目のピットストップの後に予選2位だったロバート・ウィケンス(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)にパスされたが同じスティント内に抜き返し、今季初勝利をインディのロードコースにおける3度目のポール・トゥ・ウィンを飾った。
この勝利はロジャー・ペンスキーが興したチーム・ペンスキーにとってのインディカー200勝目となった。
85周のレースは終盤にレッドタイヤ装着でのドッグファイトが行われるものと期待が高まっていた。ところが、ポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)がセバスチャン・ブルデー(デイル・コイン)とのバトルでスピンし、イエローフラッグ。
ここから先は燃費を徹底セーブして最後の最後に訪れるであろう勝負の時を待つ戦いとなり、イエローが2度と出なかったことから燃費レースのまま終了。その戦いでもパワーは優位を保ち、昨年のゲートウェイ戦以来となる勝利の喜びに浸った。
「今日のレースはスタートからゴールまで100パーセントの力を出し続けて戦った。こんなにハードにドライブしたレースはない。疲れ切った。しかし、こうしてチーム・ペンスキーの200勝目を飾ることができた。ロジャー・ペンスキーのチームで走ることの素晴らしさ、偉大なる歴史の一部となっていることへの驚き、このチームの一員として戦っていることへの感謝を感じている」とパワーはコメントした。
ニューガーデンの2勝に加えて今日がパワーが初勝利。シボレーは5戦目にして勝利数を3に伸ばし、ホンダの2勝を上回った。
ポイントリーダーのニューガーデンは終盤の3位争いでスピンして21番手まで後退したが、粘り強くゴールまで戦い抜いて11位でフィニッシュし、ポイントトップを保って第6戦インディ500を迎えることになった。
今日のレースではスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が予選18番手から2位フィニッシュ。予選2番手だったウィケンスは終盤の燃費バトルで順位をひとつ下げたが3位でゴールしてキャリア2度目の表彰台に上った。
4位はランキング3位につけるブルデー、4位はランキング2位のアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)だった。
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は11番手グリッドからのスタートで一気に数台をパスしたが、縁石をジャンプ台にしたスペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)が激突して来て最後尾付近まで後退。
第2スティントでブラックタイヤが左右逆に装着されるというチームの信じられないミスもあって挽回のチャンスが大幅に狭められていた。
しかし、終盤の燃費をセーブしながらのポジション争いで見事な走りを見せ、18番手から10位にまで順位を上げてゴールした。今シーズン2度目のトップ10フィニッシュは、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングにとっては2台体制に復帰して以来初めてとなる2台揃ってのトップ10入りとなった。
「ロードコースのセッティングに戦闘力がなく、決勝日の朝に新しいセッティングをトライしました。そして、予選までで使っていたセッティングに半分戻しながら、ファイナル・プラクティスで試した要素も盛り込んだセッティングにして決勝に臨みました」
「その結果、レッドタイヤでの走りはまずまず良いものにできていました。ブラックタイヤ装着ではラップタイムが2秒半も遅く、チームのセッティングを改めて見直す必要があると感じていましたが、それはタイヤが左右間違えて装着されたからだとレース後に判明しました。チャンピオンシップを狙うチームにあってはならないミスです」
「それでも、レッドタイヤでの終盤のバトルで着実に順位を上げることができ、トップ10に入れたのは良かったと思います」と琢磨は語った。