トップへ

まえだまえだの兄・前田航基が光る! 『Missデビル』で輝く若手俳優たちの好演

2018年05月13日 11:31  リアルサウンド

リアルサウンド

 悪女を通り越した悪魔を演じる菜々緒と彼女に振り回される佐藤勝利が話題の『Missデビル 悪魔の人事・椿眞子』(日本テレビ系)。5月12日に放送された第5話では、佐藤演じる斉藤博史の同期・南雲を演じた前田航基の演技が光る回となった。


(参考:菜々緒、共感される“悪女”になれるか? 『Missデビル』と『女王の教室』の共通点を探る


 航基は10年ほど前に一躍人気を浴びたお笑いコンビ・まえだまえだの兄。可愛いルックスと本格的な漫才から、M-1グランプリでは最年少の準決勝進者になるほか、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)や『徹子の部屋』(テレビ朝日系)など名番組への出演も果たしていた。


 そんな航基は役者としてのキャリアも長く、映画初主演は2011年公開の『奇跡』。離れ離れになった家族の絆を取り戻す少年を弟の旺志郎とともに好演した。その後もCM、ドラマを含めコンスタントに作品に出続け、近年では橋本環奈が主演を務めた『セーラー服と機関銃 -卒業-』、多くの若手役者を輩出している『人狼ゲーム』シリーズの第5作『人狼ゲーム ラヴァーズ』、大河ドラマ『おんな城主直虎』(NHK)など、その実力から大作にも抜擢されている。


 そんな航基が本作で演じた南雲陽一は、博史の同期でお調子者で皆のムードメーカー的な存在。しかし第1話ではキツい新人研修と執拗なイジメから自殺未遂を図ってしまう。陽気な性格だがその分、悩みをひとりで溜め込んでしまうナイーブな一面も持っている。


 南雲は、父親の工場を倒産に追いやった共亜火災に恨みを持っていた。工場が事故を起こした当時、工場側に重大な過失があるとして保険金を支払わなかった大沢に復讐するため刃物を突きつけた。しかし、椿の阻止により殺人未遂に終わった。


 刃物を握り襲いかかる航基の演技は、人を傷つける恐怖を理解していながら復讐に心を駆られ、他には何も見えなくなってしまったという心情が見事に表されており、その長いキャリアが背景に感じられた。


 またドラマ終盤、佐藤とのシーンもハイライトのひとつだ。会社が都合の悪い事実を隠蔽している、その被害を受けた自分が報復しなきゃいけないと思い込んでいた南雲だが、椿との仕事をこなす中で成長した博史の説得で考えを改め、晴れた気持ちで会社をやめることになる。


 佐藤の一つひとつ丁寧に絞り出すように発する言葉と、それに胸打たれ「ありがとな博史。俺の同期でいてくれて」と涙を流しながら心の荷が降りたように優しい表情をする航基。佐藤は21歳、航基は19歳と役柄と同世代ということもあるが、気持ちの乗った迫真の演技はお互いを高め合って生まれたようにも見えた。


 彼らの他にも同期役である白石聖、山本直寛はそれぞれ19歳、23歳とまだ若いながらも好演を見せている。そんな若手の活躍に注目してみるのもまた、本作の楽しみ方の1つかもしれない。


(馬場翔大)