深夜を迎えたニュルブルクリンク24時間。この後、サーキットには雨が降り出した。 第46回ADACチューリッヒ24時間レース(ニュルブルクリンク24時間レース)は5月13日、スタートから折り返しとなる12時間を経過した。11時間あたりからサーキットには雨が降り出しており、ウエットコンディションのなか波乱の展開となり、メルセデスAMGチーム・ブラックファルコンの4号車メルセデスAMG GT3がトップに浮上した。
多くのファンが詰めかけ、現地時間15時30分にスタートが切られたニュルブルクリンク24時間。序盤からレースをリードしたのは、ポールポジションからスタートしたマンタイ・レーシングの911号車ポルシェ911 GT3 R。盤石の走りを披露し、トップを快走していった。
これにメルセデスAMGチーム・ブラックファルコンの4号車メルセデス、そして911号車の僚友である912号車ポルシェがジワジワとポジションアップし続いていく展開に。マンタイ・レーシングとブラックファルコンという、ニュルブルクリンクの主役たちがトップ争いを繰り広げていった。
ところが、すっかり暗くなった午前1時30分過ぎというところで、ロマン・デュマがドライブしていた911号車ポルシェはノルドシュライフェを走行中にコースサイドの砂に乗ってスピン。ガードレールに激しくヒットしてしまった。
これでトップ争いは、マンタイ・レーシングの僚友912号車ポルシェと、メルセデスAMGチーム・ブラックファルコンの4号車メルセデスAMG GT3が争う展開に。これにメルセデスAMGチーム・マンフィルターの47号車メルセデス、前年勝者のアウディスポーツ・チーム・ランドの1号車アウディR8 LMS、アストンマーチン・レーシングの007号車V12バンテージGT3らが続く展開となる。
また、アウディスポーツ・チーム・フェニックスの3号車アウディ、ローヴェ・レーシングの98号車BMW M6 GT3といったところも10時間過ぎあたりまでは同一周回で続き、ドイツ車のGT3カーを中心とした優勝争いはまだまだ激しさを増しそうだったが、その状況を一変させるかのように、今度は深夜のニュルブルクリンクに雷が鳴り始め、深夜2時を過ぎたあたりからサーキットには強い雨が降りはじめた。
この雨によってペースが鈍ったのが912号車ポルシェ。リヒャルド・リエツのドライブ中に、マヌエル・メツガーがドライブした4号車メルセデスAMGが急激にギャップを詰めていく。75周目、いよいよテール・トゥ・ノーズとなると、77周目にメツガーがリエツをオーバーテイク。これで4号車メルセデスAMGがトップに浮上した。
一方、日本メーカーの2車は序盤アクシデントに見舞われた。SP-PROクラスに参戦するTOYOTA GAZOO Racingの土屋武士/松井孝充/中山雄一/蒲生尚弥組56号車レクサスLCは、序盤のブレーキトラブルに加え、接触によるエキゾーストの修復も実施。また、3速を失いミッション交換を実施。2時間ほどのストップを喫し、大きく総合順位を落としてしまったが、コースに復帰している。
また、SP3Tクラスに参戦するスバル/STIのカルロ・バンダム/ティム・シュリック/山内英輝/井口卓人組90号車スバルWRX STIは、序盤のパワーステアリングのオイルパイプのトラブルの後は走行を重ねていたものの、排気音量制限に引っかかってしまうというトラブルでふたたびガレージイン。ただ、こちらは5分のタイムロスでふたたびコースに戻っており、SP3Tクラス首位を奪還している。ウエットに転じたことによってAWDのWRX STIは周囲と比べるとペースも速く、順位も取り戻しそうだ。
一方、SP8クラスに参戦するNovel Racingの佐々木孝太/吉本大樹/ドミニク・ファーンバッハー/マリオ・ファーンバッハー組42号車レクサスRC F、43号車レクサスIS F CCS-Rの東徹次郎/小山佳延/松井猛敏/佐々木孝太組はクラス表彰台圏内を争いながら走行中。42号車はガレージインする時間があったため、現在は43号車が先行している。
ウエットコンディションに転じたことで、まだまだアクシデントも多発しそうなニュルブルクリンク24時間。レースはまだ折り返しだ。