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コンビニ「責任に見合った給料」への遠い道のり…都内95%の店舗で法令違反 打開求めるも、こう着状態

2018年05月13日 09:52  弁護士ドットコム

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少なくないコンビニオーナーが長時間労働に陥っている。一体なぜなのだろうか。


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セブン&アイ・ホールディングスの役員は、理由の1つとして「従業員をうまく使えない、育てられない」ことを挙げる(1月25日)。また、ファミリーマートの店舗運営部門の部長は、「人を育て、複数店舗を経営すること」が業績拡大の道だと語った(2月8日)。


いずれも、オーナーが「経営者」か、労働組合法上の「労働者」かが審査されている中央労働委員会(東京都)の審問での発言だ。


●コンビニの9割5分で法令違反の現状

ところが、今年3月30日こんなデータが発表された。コンビニフランチャイズ店舗の95.5%で労働関係法令違反ーー。東京労働局が発表した2017年度の調査結果だ。


都内の労働基準監督署が、「定期監督」した269事業所中、257事業所で違反があったというもので、労働者の通報を受けての「申告監督」は含まれていない。


労働時間に関する違反に限っても、半数を超える事業所が該当している。36協定を適切に結んでいないのが40.9%(110事業所)、結んでいてもその限度時間を超える違法残業が16.4%(44事業所)だ。


すでに従業員は「使われて」いる、あるいは従業員を「使える」環境すら整っていないというのが実態に近いのではないだろうか。


●労働環境改善を求めて「団体交渉」申し入れ 本部は受け入れず

オーナーらでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」は4月27日、「リーディングカンパニーが動かないと業界は変わらない」(酒井孝典執行委員長)として、セブン−イレブンに対し、加盟店の労働環境について話し合う団体交渉を申し入れた。


5月7日には、酒井委員長らが東京・麹町のセブン−イレブン・ジャパンを訪れ、本部役員と面会。しかし、中労委で係争中のため、団交は受け入れられなかった。



同社によると、「労務管理については、経営者である加盟店オーナーに任せている」とのこと。ただし、新規開店前のトレーニングのほか、労働局・労基署と連携したセミナーなどの提供を通した支援は行なっているという。


●コンビニで「責任に見合った給料」は払えるのか

先の中労委の審問では、ユニオン側の証人として、千葉県の元オーナーも証言した(4月11日)。稼働時間は、年間4560時間(月平均380時間)あったという。なぜそんなに働くことになったのか。


「最賃で雇って、なんでもやらせたらブラックバイトと言われる」「責任に見合った給料を払うべき。仕事を任せられる社員もいたが、全部任せれば良いという議論は違う」(元オーナー)


コンビニ業界をめぐっては、人手不足や最低賃金の上昇などが、加盟店の経営を難しくしている。しかも、多くのコンビニオーナーには経営経験がない。そんな中で、適切に人を使い、「責任に見合った給料」を払えるオーナーがどれだけいるだろうか。


ユニオンでは、加盟店チャージ率(ロイヤリティ)の見直しや24時間営業の選択制などについて、本部側と団体交渉の場も求めている。


中労委では、セブン事件、ファミマ事件ともに審問が終了。ユニオンでは近く、弁護団と話し合いを行い、このまま中労委の判断を求めるかどうかを決める。


(弁護士ドットコムニュース)