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竹内涼真、『ブラックペアン』で“カッコ悪さ”の魅力を放出! 研修医の奮闘と重なる役者への志

2018年05月13日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 嵐の二宮和也が孤高の天才外科医を演じる日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系)で、研修医・世良雅志役を青っぽく演じる竹内涼真。昨年、大ブレイクを果たした竹内が今作で見せるのは、『過保護のカホコ』(日本テレビ系)や『陸王』(TBS系)で見せた魅力的な男性像とはかけ離れた“カッコ悪さ”だ。


参考:【写真】『ブラックペアン』竹内涼真インタビュー、撮り下ろしカット


 竹内は、2013年に「minaカレグランプリ」でグランプリを受賞したことを機にデビューすると、翌年には『仮面ライダードライブ』(テレビ朝日系)に主演。その後もドラマ『下町ロケット』(TBS系)や映画『帝一の國』といった人気作に出演し、2017年6月にはNHK連続テレビ小説『ひよっこ』で慶應大学に通う好青年・島谷純一郎役に抜擢。主人公・みね子(有村架純)との初々しいカップル姿で、日本の朝にトキめきを与えたところから快進撃の幕が開く。


 7月には、ドラマ『過保護のカホコ』のツンデレ美大生・麦野初役で大ブレイク。不器用でワイルドな男子学生かと思いきや、カホコ(高畑充希)に思いっ切り甘えてみたり、ウブなカホコを優しく受け止めてみたり……胸キュン要素をたんまりと詰め込んだ“麦野くん”で、女性たちのハートを完璧に射抜くのだった。 “麦野くんブーム”が冷めやらぬ中、10月に放送がスタートしたドラマ『陸王』では、体重を10キロ近くも落として長距離選手・茂木裕人役を熱演。足の故障を繰り返すも、強い精神力で何度も立ち上がろうとする姿に多くの視聴者が心を打たれた。


 そんな竹内が今回演じるのは、初期研修医1年目の世良雅志。大学時代はサッカー部に所属していた体育会系で、熱い気持ちで医療と向き合っている。だからこそ、患者を“モノ”として扱う渡海(二宮)のやり方に嫌悪感を抱くが、“命を救う”という医師の使命を果たせるのは、自分ではなく渡海だという現実に打ちひしがれる日々。佐伯外科を自ら志望して配属されるほどの能力を持つ世良のプライドが、いとも簡単にへし折られていく様はなんとも痛ましい。


 『過保護のカホコ』では異次元のイケメンとして、そして『陸王』ではスポーツマンとしての爽やかさを披露した竹内だが、“かっこいい竹内涼真”が演じるというプラスαによってキャラクターの魅力がより引き立っていたことは間違いない。ところが世良は、甘い言葉や男気あふれるセリフを放つわけでもなく、過去に竹内が演じてきたような役柄とは相反する。竹内自身もホリプロによるインタビュー動画(https://youtube.owacon.moe/watch?time_continue=1&v=Y9Ydo0O79Ig)で「一生懸命だけど、ダサイ男をやれたら」と話しており、言うなれば“竹内涼真”としての魅力を封印した役どころ。そんなまっさらな状態だからこそ、俳優としての力量が試される難役といえるだろう。


 第3話まで放送を終え、印象的なのはやはり泣きの演技。第1話で見せたのは、担当患者である皆川(山村紅葉)を思う優しい涙。そして、手術中に大出血を起こした皆川を助けたい一心で、渡海に土下座しながら「お金で助けてくれるなら、僕が払いますから。お願いします、お願いします……」と大粒の涙を流す世良の姿は衝撃的で、今までの竹内にはないカッコ悪さが滲み出ていた。


 続く第2話では、渡海から指示された手術の縫合に失敗。渡海を頼ることしかできない悔しさに、なりふり構わず大泣きする場面は、まさに迫真の演技だった。そして、これを機に研修先の異動を考えた彼は、“渡海の部屋”と化した仮眠室で「命が怖い」と涙する。実はこのシーン、本来世良が泣く場面ではなく、竹内は4月22日に放送されていた『「ブラックペアン」ナビ~二宮和也密着ドキュメント~』(TBS系)で「渡海先生のセリフが怖くて怖くて、(自然と涙が)ブワーッと出てきて」と語っている。さらに、そんな竹内の涙を見た二宮が「泣くぐらい怖いなら(異動とか甘っちょろいこと言ってないで、もう辞めろ)」とアドリブを加えて返したことで、より深みのあるシーンとなったのだ。


 『ブラックペアン』は、医療業界の闇を辛辣に描いた作品である一方で、ストーリーテラーを務める世良の奮闘記でもある。理想と現実の狭間でもがきながら、自分にできることを必死にこなす世良は、医師としてどのように成長を遂げるのか。そして以前『TBS春の新ドラマ祭』に出演した際、患者が急変するシーンで「『患者さんの名前』と『渡海先生』しか言えなかった……」と猛省していた竹内は、度々繰り出される二宮の機転に何を思うのか。研修医として奮闘する世良と、役者として更なる高みを目指す竹内を重ねながら、今後の物語を楽しみたい。


(nakamura omame)