5月12日、全日本スーパーフォーミュラ第2戦の開催地であるオートポリスで、JRP(日本レースプロモーション)が主催する恒例のメディア向け会見、サタデーミーティングが開催された。この日登場したのは、第2戦に代役参戦する阪口晴南とトム・ディルマンのふたり。初参戦のスーパーフォーミュラへの印象や、レースに向けた意気込みを語った。
会見に登場した阪口は今大会、TEAM MUGENの15号車をドライブ。2018年シーズン、スーパーフォーミュラに15号車で参戦している福住仁嶺がFIA F2への参戦するため、その代役を務める。
阪口は2015年、鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラを首席で卒業後、2016年から全日本F3にステップアップ。2018年もF3にフル参戦中だ。一方で阪口は、富士スピードウェイで行われたオフシーズン中のスーパーフォーミュラ公式合同テストに1日だけ参加。このとき初めてスーパーフォーミュラマシンをドライブした。
「(オートポリスの)コースの特性はF3などでつかんではいるのですが、スーパーフォーミュラマシンで走ると、今までの景色から大きく変わってきます。そこをアジャストするのが難しかったです」と言う阪口、スーパーフォーミュラとF3のマシンの違いについてこう語る。
「スーパーフォーミュラとF3のマシンは同じメーカーが造っているけれど、まったく違います。速く走らせる方法も僕のなかでは全然違っていて、F3の走りはまったく通用しないと思います。スーパーフォーミュラはタイヤが太くパワーがある分、滑り出しがピーキーだったりしますから、そういうところがF3より難しいですね。そこに慣れないといけないなと思っています」
午後に行われる予選に向けては「改善ポイントはたくさんあります。それをアタックに結びつけたいです。ただ、ミディアム、ソフトともに新品タイヤをまだ履いていないので、わからないところでもあります。チームと相談して、100%の力を出しきりたいですね」と意気込む。
阪口にとっては今回の代役参戦は当然、絶好のアピールチャンスだ。活躍して次につなげたい。コメントにはそんな気負いも混じった。
「今回いいアピールができれば、来年への道が開けてきます。今はF3に参戦しているので、ここでアピールして、という気持ちはありますね。僕はスポット参戦でシリーズ争いは関係ないけれど、チームポイントがあるので、そちらにも貢献していきたいと思います」
会見では阪口のファーストネーム“晴南”についても質問が及び、「父がモータースポーツ好きだったので、その影響を受けていたのでは」と照れ笑い。
「(この名前に)プレッシャーはあるけれど、今の段階ではつけてくれたことに感謝しています。名前負けしないようにがんばりたいですね」
■トム・ディルマン、「ずっと日本で走りたいと思っていた」
阪口と同じく会見に登場したディルマンは、今大会、ピエトロ・フィッティパルディの代役としてUOMO SUNOCO TEAM LEMANSから参戦。第3戦SUGOについても、代役参戦が決定している。
ディルマンは29歳のフランス人ドライバーで、これまでGP2やドイツF3フォーミュラV8 3.5に参戦。2018年はWEC世界耐久選手権へ参戦し、開幕戦スパ・フランコルシャン6時間レースでは4位入賞に貢献した。日本でのレースエントリーは今回は初。もちろん、スーパーフォーミュラへも初参戦だ。
金曜日が初スーパーフォーミュラマシン、初オートポリス走行となったディルマンは、来日する前にシュミレーターによる事前準備を行ってきたという。
「ただ、ヨーロッパのシュミレーターなので、クルマは別のものだった。F2のクルマでこのサーキットに慣れることを第一の課題として準備したんだ」
ヨコハマタイヤに関してのインプレッションについては、「ソフトはかなりいいね。ミディアムに関しては、今日のフリー走行でやっと履いて走れたばかりなので、まだ慣れていない。ただ、予選Q1を突破するにはまだ課題があると思う」と評している。
そんなディルマン、実は「ずっと日本で走りたいと思っていた」という。
「けれど、なかなかそのチャンスがなかった。今回、たまたまUOMO SUNOCO TEAM LEMANSに声をかけてもらって感謝しているよ」
「日本で走ることを誇りに思う。日本にはスーパーフォーミュラやスーパーGTという、ヨーロッパでも知られているすばらしいシリーズがある。これらはヨーロッパにはないシリーズだ。タイヤも、ドライバーもすばらしいと思っている」
スーパーフォーミュラの印象については、「評判のレースシリーズだよね」とディルマン。マシンやコースを知り尽くした日本人ドライバーたちに交じっての初参戦という状況ながら、「この機会をとおしてこれから日本で走りたいと思っている。ベストを尽くしたい」と意気込んだ。
「スーパーフォーミュラは評判のレースシリーズなんだ。ハイレベルなドライバーが大勢いる。もちろん、僕にとっては初参戦なので、当然、難しいとは思っているけれどね」
「このサーキットではスーパーGTやスーパーフォーミュラが開催されていて、日本人ドライバーは慣れている。そのなかでベストを尽くさないといけない。日本人ドライバーが(スペインの)バルセロナや(ハンガリーの)ブダペストで突然走る感覚みたいなものさ。けれど、時間がないなかでも最善を尽くすよ」