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HKT48『早送りカレンダー』は一足先に夏を届けるシングルに “陰”と“陽”示した収録曲を分析

2018年05月12日 10:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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参考:2018年05月14日付週間シングルランキング(2018年04月30日~2018年05月06日・ORICON NEWS)


 2018年5月14日付の週間CDシングルランキングの1位は、HKT48の『早送りカレンダー』。11作連続の1位を獲得しました。  博多市に拠点を置き、指原莉乃も在籍するHKT48ですが、「早送りカレンダー」では3期生にして16歳の矢吹奈子と田中美久が初のセンターを務めています。若返りつつ、しかし全国的な知名度を誇る指原莉乃もいる安定感。万全の体制とも言えるでしょう。


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 音源をじっくり聴く前に「早送りカレンダー」のMVを見たところ、福岡の名所をメンバーが訪れていく映像に見入ってしまいました。ヤフオク!ドームなど、各所をCGでカラフルに色付けするシーンは、許諾作業を考えるとかなり大変だったのではないかとも思います。


 福岡を舞台にした「早送りカレンダー」のMVを見ながら考えたのは、福岡はもともとローカルアイドルの一大拠点であったということでした。今後の活躍を期待された数多くのアイドルがいたものの、現在の福岡のシーンはあまり元気には見えません。そこに一抹の寂しさを覚えつつ、AKB48グループのHKT48が君臨している事実を改めて痛感しました。


 ……と、うっかりここで原稿を書き終えそうになったので、収録曲を見ていきましょう。全曲の作詞は言うまでもなく秋元康です。


 「早送りカレンダー」は、ギターサウンドで幕を開け、少しだけThe Beach Boysを連想させるコーラスで一気に夏を印象づけます。「早送りカレンダー」という曲名は、つまりカレンダーを早送りさせて夏を連れてくるという意味。<パラソル><砂浜><水着>といった単語が出てくる歌詞の舞台は完全に夏。世間はまだゴールデンウィーク中の5月2日にリリースされた一足早いサマーソングであり、サウンドもそのイメージを強調しています。作曲は、AKB48グループへの楽曲提供でおなじみの丸谷マナブ。編曲は、乃木坂46の「インフルエンサー」の編曲でも知られるAPAZZIです。


 カップリングの「季節のせいにしたくはない」は、一転してシリアスな曲調。「早送りカレンダー」は梅雨明け後の夏を歌っていましたが、それは「季節のせいにしたくはない」でも同様です。しかし、「季節のせいにしたくはない」は<僕たちの関係もカビが生えた>と歌う別れの歌で、<すぐにキスしよう>と明るく歌っていた「早送りカレンダー」とは対照的なのです。


 同じ季節を舞台にして、「陽」であるのが「早送りカレンダー」、「陰」であるのが「季節のせいにしたくはない」という構造になっています。


 Type-Aのカップリング「Just a moment」は“幸せDAパンケーキ”名義。「季節のせいにしたくはない」から続けて聴くと、唐突なほど明るい楽曲です。コーラスにはオールディーズ風味も感じます。


 Type-Bのカップリング「会いたくて嫌になる」は“やっぱりみたらし団子”名義。こちらはマイナーコードを随所に使ったメランコリックな楽曲です。


 Type-Cのカップリング「僕の想いがいつか虹になるまで」は“さくらはなみく”名義。ギターロックで、真夏の学校のグラウンドを描きながら恋を歌う楽曲です。


 というわけで、HKT48はすでに夏。福岡はすでに夏。一足先にサマーソングを届けるシングルが『早送りカレンダー』です。(宗像明将)