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トロロッソ・ホンダF1密着:スペインGPで記録したスピードからバクー失速の原因を探る

2018年05月12日 10:01  AUTOSPORT web

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2018年F1第5戦スペインGP ピエール・ガスリー
スペインGPのフリー走行2回目で、ピエール・ガスリーが時速332kmという最速のスピードを披露した。だが、チームメイトのブレンドン・ハートレーが時速320kmということを考えると、スリップストリームに入って加速したものだと考えられる。ただし、ハートレーの時速320kmでも11番目に速い記録だ。 

 ストレートスピードというと、2週間前のアゼルバイジャンGPでの失速が思い出させる。レースがスタートし、直後に入ったセーフティカーが入ったアゼルバイジャンGP。

 そのセーフティカーがピットロードに入り、レースが再スタートされた直後、入賞圏内にいたガスリーがどんどん順位を落として行った。その理由を田辺豊治ホンダF1テクニカルディレクターは次のように説明した。

「エネルギーマネージメントが適切に使用できていなかった。バクーはほかのサーキットとは異なり、特有のセッティングが必要で、再スタート後にどこで加速していくかが読みにくいところがあった。次にバクーへ行ったら、同じ失敗をしないようにしたい」

 日曜日のレースをテレビで見ていた人は、単純にホンダのパワー不足を心配したに違いない。だが、金曜と土曜のストレートスピード、そしてこのスペインGPの金曜日のストレートスピードを見れば、まだまだ改善しなければならない余地はあるものの、アゼルバイジャンGPの日曜日にテレビに映し出されたほど、ホンダPUの性能は悪くはない。

 アゼルバイジャンGPの失速の原因は、PUのハード的な問題ではなく、バクー特有のセッティングができていなかったというのだ。


 では、なぜそれができていなかったのか。田辺TDはその原因については「PUのマネージメントはホンダが行う領域なので、最終的にはホンダの責任」と言いつつも、「レース後、ドライバーを含めたチームとホンダのスタッフでしっかりとコミュニケーションをとって共通の認識を持つようにしました」と言った。

 これは筆者の推測だが、チーム側に対して再スタートに向けてバッテリーをチャージするよう指示を出さなければならなかったのに、それを行なっていなかった可能性がある。

 その証拠に、再スタートはスタート直後とレース後半の2回あったが、つまずいたのは1回目で、2回目は1回目ほど出遅れることはなかった。それは1回目の失速を見て、ホンダがチームとドライバーに対して、再スタート前にやるべきことを再確認したからだと思われる。

「ホンダは理解していたと思っていたが、足りなかった。レース後、状況に合わせたエネルギーマネージメントやPUのモードの使い方をお互いに理解しあいました」(田辺TD)

 トロロッソ・ホンダがスタートして5戦目のスペインGP。チームとの絆は2週間よりも強くなっていた。