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第4話では少なめに 『モンテ・クリスト伯』ディーン・フジオカ登場シーンの絶妙なバランス

2018年05月11日 19:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 5.1%でスタートしたドラマ『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(フジテレビ系)の関東地区の視聴率は、第2話が5.7%、第3話が7.1%と回を重ねるごとに右肩上がりで好調だ(数字はビデオリサーチ調べ)。ネット上でも盛り上がりを見せる本作は、これまで比較的綺麗な役が多かったディーン・フジオカが拷問や指を喉に入れ嘔吐するなど体当たりの演技に挑んでいる点が見どころの1つとなっている。


 そして5月10日に放送された第4話は、関東地区視聴率が6.5%と少々下がったものの、モンテ・クリスト・真海(ディーン)がじわりと進めてきた復讐の第1弾が遂行された重要な回となった。真海が早くも復讐相手の神楽清(新井浩文)、入間公平(高橋克典)、南条幸男(大倉忠義)の3人とその家族に接触を果たした前回だったが、今回は真海ではなく、神楽の妻で入間の愛人だった神楽留美(稲森いずみ)を中心に物語が進む。


 夫から愛情を注いでもらえず孤独な毎日を送る留美は、マンションの一室に若い男2人を連れ込み“奉仕”させるのが唯一の癒やし。さらに22年前に、愛人・入間との間にできた子供を産んで即座に庭に埋められた壮絶な過去を持っており、それを現在でも引きずっている。“孤独と依存”を抱える人間は、マインドコントロール下に入れやすいため、登場人物の中で留美は1人目のターゲットとして最も相応しい人物だった。留美は、本当は生きていた彼女の息子・安堂完治(葉山奨之)と、正体を知らぬまま身体を重ねることになる。


 一方、「大切なものを壊す」と淡々と計画を進めていく真海。今回彼は、留美と安堂を出会わせ、幸男の元に神楽のライバル会社のCM契約の話を持ち込ませる。文字にすると彼の行動は非常にシンプルだが、“風が吹けば桶屋が儲かる”と言われるように小さな変化が大きな歪みを起こしていく。


 真海が10年以上の歳月をかけて撒いた復讐の種がようやく芽を出し始めた第4話は、主役であるディーンが脇に徹したのが特徴的。そのおかげで復讐相手と家族たちのキャラクターが浮き彫りになり、神楽、入間、幸男の背景と弱点が徐々に明らかになっていった。留美の近親相姦は入間への復讐の第1歩として利用された一方で、神楽と幸男は互いの首を締め合うことで真海の作戦に関わっていく。


 第3話で官能的なラストを見せ、“お預け状態”だったディーンファンにとっては少々物足りない回だったことだろう。しかし、ここであえて主役の出番を激減させたのは、真海のスマートさを顕著に描くために必然だったように思える。実際に、各キャラクターが自発的に取ったと思い込んでいる行動は、真海にとって想定内の出来事に過ぎなかった。序盤の段階で黒幕が出しゃばると面目が立たないので、待ち受けるトドメの衝撃を確実に打つためには、影でじっと待ち相手の様子を伺うのが妥当だ。


 ところで、新井浩文が密かにTwitterで行っているリアルタイム実況が結構おもしろい。今回神楽エステートのライバル会社とCM契約を結ぼうとする幸男の元に神楽が尋ねるシーンがあったが、新井は「じゃーな」と去るシーンを「じゃーね」と言い間違え、NGを出してしまったことをツイートで明かしている。今後ストーリーは泥沼化していくこと間違いなしだが、役柄とのギャップも相まって彼のツイートがオアシス的役割を担ってくれるかもしれない。(阿部桜子)