2018年のWRC世界ラリー選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRT。4月末に行われた第5戦アルゼンチンでシーズン初勝利を挙げ、流れを維持して臨むのは5月17~20日の間、ポルトガルを舞台に争われるグラベル(未舗装路)ラリー、第6戦ポルトガルだ。
4月26~29日に行われたラリー・アルゼンティーナで、今季からチームに加わったオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)により、2018年シーズン初優勝を掴んだトヨタ。その1戦から約1カ月のインターバルを経て行われる第6戦ポルトガルは、同国北部を舞台に争われる今季初のヨーロッパグラベルラリーだ。
開催当初はグラベルとターマック(舗装路)が入り混じるミックスイベントだったが、その後グラベルラリーに変化。開催地もポルトガル南部のアルガルヴェに変更されたこともあるが、2015年から現在の北部中心の開催に戻っている。
ラリー・ポルトガルで行われるSSの路面は砂に覆われており、出走順が早いドライバーはグリップ不足と対峙することに。また、ステージを再走する午後の時間帯には砂に隠れていた岩が路面に顔をのぞかせ、深いわだちも刻まれていることから、さらに難易度が上昇。マシンを守るため、ドライバーは車高を上げるなどの対策を施す必要もある。
競技は17日(木)の現地19時3分に行われるSS1で開幕。舞台となるのはロウザダにあるラリークロス用サーキットで、2台のマシンが同時に走行するスーパーSSでの開催だ。
翌18日(金)から本格的なグラベル戦が幕を開け、この日はSS2~9までの8SSが行われる。19日(土)はSS10~15までの6SSの開催。このうちSS12とSS15は今大会最長となる75.20kmのロングステージだ。
最終日の20日(日)はSS16~18までの5SSで争われ、全20SSの合計距離は358.19km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1583.08kmとなっている。
2017年のラリー・ポルトガルで、トヨタは初めて3台体制を構築。ヤリ-マティ・ラトバラ、ユホ・ハンニネン、エサペッカ・ラッピの3名で戦いに挑むと、ハンニネンが陣営最上位となる7位入賞を果たした。ラトバラは体調不良に苦しめられながらも総合9位、デビュー戦となったラッピは総合10位でフィニッシュしている。
迎える2018年大会、トヨタはこれまで同様の3台体制を維持。ラトバラ、タナク、ラッピとともにシリーズ2勝目を目指す。
■マキネン「アルゼンチンとコンディションが似ており、パフォーマンスを発揮する自信がある」
「アルゼンチンでの勝利により、チームは大きな自信に満ち溢れていて、ラリー・ポルトガルをとても楽しみにしている」と語るのは、チームの指揮を執るトミ・マキネン。
「先週行なった事前テストもうまくいき、万事順調だと思っている。ポルトガルとアルゼンチンの路面コンディションは非常に似ているから、ポルトガルでも力強いパフォーマンスを発揮する自信があるよ」
「ここはあまり石や岩が多くないコースだから比較的簡単で、少なくともそれほどトリッキーではないラリーだといえる。従って、通常であればそれほど難しいラリーではないが、優勝を目指して戦う以上、他のラリーと同様、挑戦しがいのある1戦となる」
前戦で勝利を収めたタナクは「クルマはきっと力強いパフォーマンスを示してくれるはずだ。先週の事前テストではさらなる改善と、性能向上に注力したけど、すべてがとても良好だった」と手応えを示した。
「アルゼンチンと同様のパフォーマンスを発揮することが目標だが、状況を見ながら戦いを進めていくつもりだよ。デイ2の金曜日は、出走順の関係で我々にとって厳しい1日となることが予想される」
「自分たちよりも前に2台が走るから、その走行ライン上を走ることになるだろうけど、とにかくポルトガルは路面のルーズグラベル処理がタイムに大きな影響を及ぼすからね」
ここ数戦、思うように結果を残せていないラトバラは「クルマの仕上がりは本当に素晴らしく、(ラリー・アルゼンティーナで)リタイアするまでは私自身にもスピードがあったから、大きな自信を持ってラリー・ポルトガルに臨むことができる」とコメント。
昨年、このポルトガルでWRC最上位クラスデビューを果たしたラッピは「ポルトガルは基本的に去年と同じ道を走るから、自分にとってはチャンス。最初のステージから全開で行ける自信がある」と述べている。