2018/19年のWEC世界耐久選手権“スーパーシーズン”に参戦しているBRエンジニアリングは、第1戦スパ・フランコルシャンで起きたふたつのクラッシュについて原因究明を急いでいる。
WECスーパーシーズンに、LMP1マニュファクチャラーとして参戦しているBRエンジニアリングは、SMPレーシングとドラゴンスピードにシャシーを供給している。
このうち、SMPレーシングの17号車BRエンジニアリングBR1・AERは決勝レース残り1時間20分を切ったころ高速セクションであるオー・ルージュの立ち上がりで宙を舞うと、そのままコース右側のタイヤバリアに激突する大クラッシュを起こした。
また、予選セッションではドラゴンスピードの10号車BR1・ギブソンがオー・ルージュの進入で突如バランスを崩して、ハイスピードのままバリアに激突。ドライブしていたピエトロ・フィッティパルディは両足骨折の重傷を負っている。
この週末、2度の大クラッシュを起こしたことでBRエンジニアリングのマシンには安全性を問う声も出ているが、BRエンジニアリングのスポークスマンはSMPレーシングのクラッシュについては「極めてまれで複数の要因が重なった結果」だとしながらも、調査を進めていることを明かした。
「マシンが空を飛んだことで、さまざまな憶測が飛び交っているが、最終的な結論を下す前に多くの情報を分析する必要がある」
「我々はダラーラとともに作業を進めている。車体に改良が必要であれば、当然その作業を行うつもりだ」
「さまざまな条件と要素が組み合わされば、レーシングカーが空を飛ぶ可能性は充分にある。そして(アクシデントが起きた)あのコーナーはそういった要素が重なりやすい場所のひとつである」
「第2戦ル・マン24時間まで残された時間はわずかだが、それでも準備を整えるには充分な時間だと考えている。次のレースまでにマシンとドライバーの準備は整うはずだ」
なお、既報のとおり、SMPレーシングはフランスのマニクールサーキットでプライベートテストをすでに実施済み。第2戦からチームに加わるジェンソン・バトンとともにローダウンフォース仕様のBR1・AERのテストを行っている。
■フィッティパルディの事故原因は「特定できていない」ものの、電気系が要因と示唆
また、ドラゴンスピードのBR1・ギブソンが起こしたクラッシュについては最終的な結論には「まだ時間がかかる」としながらも、電気系トラブルが原因との見方を示している。
「正確な事故原因は特定できていない。もう少し時間が必要になる」とBRエンジニアリングのスポークスマン。
「ただ我々は電気系コンポーネントに問題があったと仮定している。それが原因でドラゴンスピードのマシンはコントロールを失った可能性がある」
「この件についても調査を進めており、ドラゴンスピードともコミュニケーションを取り続けている。彼らの疑問にはすべて答えるつもりだ」
「ダラーラと協力して、ドラゴンスピードがル・マン24時間に参戦できるよう全力を尽くしている」
「BRエンジニアリングとSMPレーシングのスタッフ全員がピエトロの回復を祈っているし、彼らふたたびグリッドに姿を現すことを願っている」