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KinKi Kids 堂本剛、楽曲制作で意識していること “アート的な感覚”から探る

2018年05月10日 19:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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「“彼は一体何を歌ってるんだ?”ぐらいの方がいいなぁ」


 KinKi Kids 堂本剛の素顔に迫るドキュメンタリー番組『堂本剛の素』。第4回となる“「つくりかた」後編”が、5月4日より動画配信サービスGYAO!にて配信されている。今年2月に、ファッションブランド“ATSUSHI NAKASHIMA”が、ミラノで2018-19年秋冬コレクションを発表した際に、剛のソロプロジェクトであるENDRECHERIとコラボ。ランウェイミュージックを剛が作曲した。第4回では、そんなミラノコレクションの舞台裏エピソードや、剛が自身の楽曲を制作する際に意識していることなどが語られた。


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 今年2月に都内某スタジオにて行われた、ENDRECHERIが5月2日にリリースしたニューアルバム『HYBRID FUNK』のトラックダウン作業。トラックダウンとは、複数のチャンネルに録音された音源の音質や抑揚を決める最終調整の作業のことである。剛自身が作業に立ち会い、曲の方向性を決めていく。「キレイに整えないようにいつもミックスするんですよ」とレコーディングする際に気をつけていることを語る剛は、聴いた時に永遠に“?”が浮かぶような曲を作るのが好きだと口にする。続けて「丁寧なことは一切しないっていう。“彼は一体何を歌ってるんだ?”ぐらいの方がいいなぁ」と自身の楽曲に対する思いを打ち明けた。


 しかし、「だからと言ってわざと変なものを作ってやろうとは思っていない」という。「要は知識とか作法とか段取りは無視して感覚で作っちゃってるから、みんな初めて聴いた時にちょっと脳みそバグるみたいな感じになって。それで癖になる人は入ってくるんですけど」と自身の感性を信じ自由に発想するからこそ、剛にしか作れない不思議な楽曲を生み出していると説明。「雑でいいんでしょうね。結局はね」と荒削りだからこその良さがあると主張する剛は、「ただあざとくてオシャレでカッコよかったら、ちょっとなっていう……。やったら潔い方がカッコいい気がする」と持論を述べる。“あざとい”のは、「こう聴けよ」と聴き方を束縛しているようで嫌いなんだとか。


 「この曲はどういった曲なんですか? っていう質問がくる時代自体がおかしい」と意見する剛。「いや、説明してるやんみたいな。それで理解できないんであればそれでいいしね。わかる人にわかってもらったらええねんっていう感じで作ってるから」とすべてを曲の中に込め、そこに提示しているからこそ、受け取れる人だけが聴いてくれればいいと語った。剛自身、細かく説明されすぎると「探究心なくなる」という。ガイドブックも便利だが、情報が少なくてちょっと不便な方が面白いと熱弁した。音楽を作る時もまた然りなんだとか。だからこそ、剛が作る音楽は言葉では説明できないが、なんだか聴いてて気持ちいい曲なのだろう。


 ATSUSHI NAKASHIMAもまたそんな剛の“アート的な感覚”に共感したという。幾何学模様が特徴である自身のブランドと相性がいいため、楽曲をオファーしたという。説明できない心地よさ、独特の世界観、頭が混乱しつつも癖になる何か……剛が手がける楽曲は芸術性に溢れている。理解できないけど印象に残り、一度聴いたら頭から離れない。私たちの好奇心を刺激し、想像を膨らませる。まるで、宇宙のようだ。


 すべてを自身の感性で創造する堂本剛の「つくりかた」。ものづくりを通して剛は「僕なりの愛」を表現しているという。そんな剛の頭の中は、宇宙のように無限に広がっている気がしてならない。これから剛はどんな世界を生み出し、私たちの探究心を煽ってくれるのだろうか。ワクワクが止まらない。(文=朝陽空)