5月12~13日、大分県日田市のオートポリスで全日本ロードレース選手権第3戦が行われる。開幕から2戦を終えてランキングトップは中須賀克行(ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム)。そのライバルでありディフェンディングチャンピオンの高橋巧(チームHRC)、3戦目にして中須賀の前でチェッカーを受けることができるか。
全日本ロードレース第3戦は、四輪の全日本スーパーフォーミュラ選手権との併催となっており、開催クラスはJSB1000のみ。前戦鈴鹿では2レースが行われたが、今大会は1レースのみの開催で、予選はノックアウト方式だ。
注目はやはり、シーズン序盤から火花を散らしているヤマハとホンダのファクトリー対決だろう。現在、ヤマハファクトリーの中須賀は4連勝を飾りランキング首位。一方、ホンダファクトリーの高橋は4レース中3レースで2位表彰台を獲得しつつも、1レースで転倒があったためにランキングでは3位につけている。
オートポリスは九州・福岡出身の中須賀には地元サーキットと言える。中須賀にとっては2014年第6戦から、開催が中止された2016年を除いて優勝を続けている得意コースだ。前戦鈴鹿では、決勝レース2後に「まだのびしろはある」と自身を評した。この言葉から、迫りくるホンダファクトリーとファクトリーマシンホンダCBR1000RRW、そして高橋巧の追随を許さないというゆるぎなさがうかがえる。
その高橋は先も述べたとおり、現在ランキング3位。第2戦鈴鹿では中須賀とのデッドヒートを繰り広げた。
鈴鹿でのレース後、高橋は「(中須賀選手を)多少は苦しめられたかなと思います。今シーズンは、素直に悔しいと言えるんです」と語っていた。オフシーズン中に負った左手のケガもすでに完治しているという。2018年シーズンから復帰したホンダファクトリーチームが、1戦ごとにヤマハファクトリー、ヤマハYZF-R1、そして中須賀の背中に迫る。
中須賀はそんなライバルについて、「今年に入って速い場所がけっこう似ているんです」とも言う。高橋がオートポリスで中須賀を制することができれば、2018年シーズンの勢力図がまた違ったものになってくるだろう。
また、中須賀と高橋の真っ向勝負のみならず、見逃せない戦いが繰り広げられることは必至だ。カワサキ・チームグリーンの渡辺一馬はここまで表彰台こそ2度の獲得にとどまっているが、鈴鹿で一時はトップを走行するアグレッシブさにサーキットが湧いた。カワサキのホームコースであるオートポリスで、カワサキライダーとしても負けられないはずだ。
さらにはヨシムラ・スズキMOTULの津田拓也と渡辺一樹も黙ってはいないだろう。2018年から同チームに移籍した渡辺一樹は開幕戦から速さを見せている。エースライダーの津田はここまで本来の速さを発揮できていない印象だが、オートポリスで巻き返しをねらいたい。
その実力は間違いないモリワキMOTULレーシングの高橋裕紀に清成龍一、若手ライダー筆頭の野左根航汰(ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム #5)などがトップ争いにどう絡んでくるのかも楽しみなところ。
ヤマハとホンダのファクトリー対決のみならず、激戦が予想される全日本第3戦オートポリスJSB1000。制するのは中須賀か高橋巧か、それとも新しいウイナーが誕生するのか。オートポリスでの戦いは5月12日に幕を開ける。