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広告で収益上げる無料タクシー、本当に上手くいく? 識者は国交省の動きを懸念

2018年05月10日 14:21  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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起業家の吉田拓巳氏は5月8日、無料でタクシーに乗れる新サービス「nommoc(ノモック)」の立ち上げを発表した。乗客からは運賃を徴収せず、車内ディスプレイの広告費で収益を上げる仕組みだ。

吉田氏は22歳の若き起業家。2011年には若干15歳でライブの舞台演出を手がけるセブンセンスを創業して話題になった。

「ターゲットを絞ることで広告費を上げられる。収益を上げることは可能」

配車はスマートフォンのアプリから行う。ユーザーが性別と年齢を登録することで、車内には乗客をターゲットにした広告が流れる。さらにユーザーの嗜好や過去の行き先のデータが蓄積されるため、企業は効率よく広告を流せるという。

今後は、車内での買い物も可能になる見込みだ。吉田氏は5月9日、自身のツイッターで「そのままおススメされた商品が購入できるようにもしようと考えております」と明かした。

2019年3月に福岡県天神市でサービスを開始し、順次主要都市に展開していく予定だという。投資家と起業家のマッチングサイト「FUNDINNO(ファンディーノ)」を利用し、5000万円を調達する見込みだ。

無料でタクシーに乗れるとなるとユーザーにはかなり嬉しいサービスだが、収益を上げ、事業を継続することは可能なのか。ITジャーナリストの井上トシユキさんは、「とても面白い発想だと思います。収益を上げることも十分可能でしょう」と話す。

「タクシーの利用客の多くは、2000~3000円程度の距離で利用しています。1~2メーターほどの短距離で利用する人も多い。乗客の性別や年齢がわかるのであれば、ターゲット広告の値段を上げることができるでしょう。今後、車内で商品を購入できるようになれば、広告の値段はもっと上がるかもしれません。店舗販売に掛かるテナント料や人件費を節約できるわけですから」

ノモックは「ホテルの送迎車と同じ仕組みで事業を行います」と説明

しかしタクシーは、地域ごとに運賃幅が設定されている。それに従わない場合には、国土交通省が事業許可の取り消しをすることも可能だ。

タクシー業界のコンサルタント会社「タクシーデータサービス」の関隆代表は「そもそも国土交通省が許可を出すのでしょうか。過去にはウーバーが福岡市で無料の相乗りを行い、国交省から中止を求められたことがあります。MKタクシーが名古屋で無料運行した時も同省とかなり揉めていました」と首をかしげる。

ノモックの担当者はその点について、「タクシーやバスを使って乗客を運ぶ時に必要な二種免許でやるわけではありません。ホテルの送迎車と同じ仕組みで事業を行います」と話している。それでも関代表は、ノモックの事業に懐疑的だ。

「ホテルの送迎車は決まったルートを運行しています。しかしノモックはお客さんの行きたいところに行くわけですから、無許可の自動車でタクシー営業をする『白タク』行為になってしまわないでしょうか。それに広告費だけで人件費やガソリン代をまかなうのは難しいでしょう。発想自体は面白く、こうしたアイデアが若い人から出てくるのはいいことだと思いますが……」

ユーザーにとっては利便性の高いこのサービス。上手くいって欲しいところだが、果たしてどうなるのだろうか。