2018シーズンのFIAヨーロピアンF3選手権(ユーロF3)は、今週末(5月11~13日)にフランス・ポーの市街地サーキット(一周2.760km)でいよいよ開幕を迎える。今季の参加台数は原稿執筆時点(5月7日)で6チーム/23台と昨年よりも多い。
なお、ファン・アマースフールト・レーシング(VAR)は3台目を走らせる努力を続けているという。レッドブルリンクとミサノの公式合同テストに参加していた女性ドライバーのゾフィア・フローシュ(17歳)は候補のひとりで、開幕大会は学校の試験で欠場するものの、予算を確保できれば第2大会以降で参戦の可能性を残している。
ユーロF3の公式ウェブサイトでは開幕前に6人のチーム代表を取材、自身のチーム以外でタイトルを争うと予想するドライバーを聞いている。これを集計すると、ミック・シューマッハー(プレマ)が5票の満票。ダニエル・ティクトゥム(モトパーク)とアレックス・パロウ・モンタルボ(ハイテック)が4票で続き、以下、ファーディナンド・ハプスブルク(カーリン)が3票、サッシャ・フェネストラ(カーリン)が2票、周冠宇(プレマ)とラルフ・アロン(プレマ)とジェハン・ダルバラ(カーリン)が各1票という結果だった。
昨年12月のプライベート・テスト(スペイン・バルセロナ)、本年3月の公式合同テスト(ハンガリー・ハンガロリンク)と同4月の公式合同テスト(イタリア・ミサノ)を現地取材した筆者の見立ては次のとおり。
筆頭はユーロフォーミュラ・オープンやGP3や全日本F3選手権など、F3レベルでは5シーズン目を迎えるパロウ。2番手は昨年のマカオGPウイナーでレッドブル・ジュニア・ドライバーで、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)へ福住仁嶺の代役で出場する予定のティクトゥム、3番手はハプスブルクやシューマッハーといったところ。
「公式合同テスト全体をとおして一発でもロングランでも良いデータを得られた。チーム・スタッフとのコミュニケーションも深められたし、タイヤに関しても充分に学べた。タイトル争いに関して話すのは早すぎると思うけれど、目標に向かって挑戦できるだけの位置に居られている」とパロウは満足げな表情で語った。
「シーズン前最後となったミサノの公式合同テストはとてもとても良かった。チームの仕事は素晴らしく、クルマに関してはペースの良いセットアップを選べて“ポケット”に入れられた。日本のスーパーフォーミュラで走れるのも楽しみ。菅生と富士で走るのは間違いない」とミサノでティクトゥムは笑顔を見せた。
また、唯一の日本人ドライバーとして佐藤万璃音(モトパーク)がユーロF3の2シーズン目を迎える。プレマとモトパークが参加した昨年12月のスペイン・バルセロナのプライベート・テストでは、雨上がりの最終セッションでトップタイムを記録。テスト・メニューの違いで安易には判断できないものの、ハンガロリンク、レッドブルリンク、ミサノの各公式合同テストではトップ10圏内で終えるケースも多かった。
今季は安定的にポイント圏内で争うだけでなく、流れによっては表彰台も視野に入れた戦いが期待される。決勝レースの競り合いで強さを見せる彼にとって、予選とスタートのさらなるパフォーマンス向上が望まれる。
なお、開幕大会の舞台となるポーは冒頭で記したとおり市街地サーキットで、しかも非常にコンパクト。抜きどころはほとんどなく予選結果が決勝結果にほぼ直結するが、コース裏手の第7ターンは事故が多発する難所で生き残り競争となる可能性もある。プレマ・セオドール・レーシングは4月の公式合同テストのあと、開幕大会対策としてポーからほど近く特性の似たフランスのシルキュイ・ポール・アルマニャック(通称ノガロ・サーキット、一周2.254km)でプライベート・テストを実施して準備万端のようだ。
■2018 ユーロF3暫定エントリー(5月4日時点/筆者作成)
NoTeamDriverNotes1プレマ・セオドール・レーシング周冠宇※フェラーリ育成ドライバー3モトパークセバスチャン・フェルナンデス(R)4プレマ・セオドール・レーシングミック・シューマッハー※メルセデス・ブランド大使7プレマ・セオドール・レーシングラルフ・アーロン8プレマ・セオドール・レーシングマーカス・アームストロング(R)※フェラーリ育成ドライバー9カーリンジェハン・ダルバラ※フォース・インディア支援ドライバー10プレマ・セオドール・レーシングロベルト・シュワルツマン(R)※フェラーリ育成ドライバー11カーリンサッシャ・フェネストラ(R)※ルノー育成ドライバー12ファン・アメルスフールトアルテン・ペトロフ(R)13モトパークファビオ・シエレ(R)15ファン・アメルスフールトケイバン・アンドレス・ソーリ16カーリンニキータ・トロイツキー(R)17カーリンデブリン・デフランチェスコ18マコンユリアン・ハンゼス(R)23モトパークジョナサン・アバディーン(R)24カーリンアミヤ・バイッドヤーナサン25ファン・アメルスフールトゾフィア・フローシュ(R)27モトパークダニエル・ティクトゥム(R)※レッドブル育成ドライバー33モトパーク佐藤万璃音39ハイテックGPアレックス・パロウ・モンタルボ44モトパークユーリ・ビップス(R)62カーリンファーディナンド・ハプスブルク65ハイテックGPエナム・アーメド(R)77ハイテックGPベン・ヒンジェリー(R)
※Rはルーキードライバー