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欅坂46、結成3年目で浮き彫りになった課題とは? ラジオで語られた秋元康の発言から考察

2018年05月10日 10:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 秋元康がゆかりのあるゲストを迎えて対談するラジオ番組『今日は一日“秋元康ソング”三昧2018』(NHK FM)が5月3日にオンエアされた。欅坂46からも、菅井友香、長濱ねる、小林由依が登場し、さらには平手友梨奈もサプライズで出演。秋元が思う欅坂46の現状やメンバーの素顔などが赤裸々に語られた。


参考:乃木×バナナマン、欅×土田&ハライチ澤部、けやき×オードリー…坂道の成長に欠かせない冠番組MC


 今回の放送で印象的だったのは、プロデュースする様々なグループの中でも欅坂46が一番大変だと秋元が語っていたこと。その理由について秋元は「みんな個性が強いので、まとまらないんだよな漢字欅は」と語りながらも、「欅坂の魅力ってアンバランスなんですよね」とプラスに評価していることも伺えた。しかし、その分ライブでは統率に欠けることも多いようで、昨年夏に行われた『欅共和国 2017』で秋元は、まとまりに欠ける彼女たちに対して「いろいろ話をしよう」と提案したが誰も本音を話してくれなかったという。


 欅坂46はこれまで、いわゆる王道のアイドル路線とは別にある、センセーショナルなパフォーマンスで注目を集めてきた。もちろん中には王道を志向するメンバーもいるが、レギュラーのバラエティ番組などを見ていても、それぞれ自由なスタンスで個性を発揮している印象が強い。秋元は「大人たちがこういう風にしなければいけないんだと同じ色にしちゃうんではなくて、このバラバラな感じがいいなと思う。つまり大人に対する抵抗とか、それが個性だと思う。変に揃えない方がいいんじゃないかと思います」と彼女たちの持ち味を解説。その個性がライブでの迫真のパフォーマンスに繋がり、これまで何度もファンを圧倒し続けてこれたのだろう。


 また、秋元はメンバー間の連携についても言及し、メンバーの誰かが落ち込んでいる時はちゃんとフォローし合い、意見を交わし合っていることについては高く評価した。4月に行われた『欅坂46 2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE』では、センターの平手が不在の中、バラバラだった気持ちをひとつの目標に向けて団結させることで成功を収めた欅坂46。それは2周年を迎えた欅坂46にとってひとつの成長と言えるだろう。しかし、グループの足並みが揃うということは、ある意味、秋元が欅坂46の魅力と考える“アンバランスさ”の喪失にも繋がり得るのではないだろうか。秋元は「“欅坂こういうところがダメなんだよね”って言っても、それでも好きでいてくれるっていう、そういうグループがいいんだと思うんだよね」と持論を明かしていたが、“アンバランスさ”と“団結”の狭間で揺れる今、グループは大事なターニングポイントを迎えている。


 さらに平手が登場した際は、知られざる秋元と彼女のやりとりが明らかになった。平手と秋元はジャケットやライブ演出などのクリエイティブ面についても意見を交わすという。ただ秋元は、平手がクリエイティブだからこそ、限られた時間の中で作業をする大人たちとの間に衝突が生まれたり、自身が納得するまで頷かない難しさもあると説明。これまで音楽番組やライブで、アーティストとしての表現力が高く評価されてきた平手。お互い寝ずにLINEで意見を交わし合っていることも語られたが、平手の表現力の根元のひとつは、そんなグループやモノづくりに対する意識の高さによるものなのだろう。また、彼女の存在感だけでなく、クリエイティブにおけるセンスや思考が、欅坂46というグループの在り方に少なからず影響を与えているようだ。


 今まではメンバー本人たちの言葉でしか欅坂46の実態を知ることがなかったが、今回の放送で秋元がグループをどのように捉えているのかが明らかになり、さらに欅坂46の課題も浮き彫りになった印象だ。また、これまで数々のアイドルをプロデュースしてきた秋元にとって、欅坂46は創作意欲を掻き立てる存在であることも伝わってきた。3年目に突入した彼女たちは、今後どんなアイドルグループへと成長していくのだろうか。(本 手)