2018年05月10日 09:42 弁護士ドットコム
渋滞に巻き込まれるのを避けようと、暗いうちに出発して目的地をめざす人もいるでしょう。
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暗い車の中は、何かと不便。物を探すにも、赤ちゃんにご飯を食べさせるのもひと苦労です。そこで室内灯をつけたいところですが、交通違反だとして検挙されてはたまりません。一方、大型の観光バスは灯りをしっかりつけたまま走行しています。
走行中に室内灯をつけることは交通法規上、違反となるのか。例えば後部座席でカーテンなどを使い、外へ灯りが漏れるのを最小限に防いだとしてもダメなのか。バスはどうして許されているのか。こうした疑問を改めて、交通問題に詳しい山田訓敬弁護士に聞きました。
ーー走行中に室内灯をつけることは禁止されていますか
「夜間に室内灯をつけて走行することを直接禁止する規定はありません。しかし、道路交通法70条は『車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない』として車両等の運転者の安全運転義務を定めています(同法119条で罰則も規定されています)」
ーーその規定をもとに違法とされるのでしょうか
「はい、そうなるでしょう。夜間に室内灯をつけて走行すると、明るい車内から暗い外が見えにくくなり、また、車内の様子が窓に映って外が見えにくくなることから、交通事故を起こす危険が高まります。ですので、夜間に車内灯をつけながら走行することは、安全運転義務に違反する違法な走行方法になると考えられます」
ーーどうしても一瞬だけ室内灯を使いたいということもあります
「一瞬であったとしても交通違反として検挙される恐れはあります。必要があれば、いったん車をとめてから室内灯をつけるべきでしょう」
ーーカーテンなどを使い、灯りが漏れるのを防いでもダメですか
「室内灯がついていると運転者にとって外が見えにくい状態で運転することとなります。安全運転義務違反になるというものですから、室内灯をつけている限り、カーテン等を用いて車内の灯りが外に漏れないようにしても、結論は変わらないでしょう」
ーーでも、バスの場合は室内灯をつけたまま走行していますよね
「路線バス等については、乗客の安全を確保しなければならないこともあり、道路交通法52条1項、同法施行令第18条1項1号により、夜間道路を通行するときは室内灯をつけなければならないとされてるため、室内灯をつけて走行することが許されています」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
山田 訓敬(やまだ・くにたか)弁護士
企業法務を中心に企業のトラブル解決に尽力する一方で、個人の交通事故や遺産相続の分野にも力をいれている。特に交通事故事案では、一人でも多くの被害者のお力になりたいとの思いで有志の弁護士らで福岡交通事故相談ダイヤル(無料)を立ち上げその代表を務めています。交通事故相談ダイヤルはhttp://jikosoudan.info/
事務所名:弁護士法人山田総合法律事務所
事務所URL:https://www.yamaben.com/