世代による価値観の相違がしばしば話題になるが、"平成世代"と"昭和世代"の学歴に対する考え方も、意見が分かれるところのようだ。ソニー生命保険は5月8日、「平成生まれ・昭和生まれの生活意識調査」の結果を発表した。調査対象は全国の平成生まれの男女(20歳~28歳)と昭和生まれの男女(52歳~59歳)で、平成生まれ世代を比較対象とするため、昭和世代の対象は年齢を離している。
調査期間は2018年3月16日~3月19日の4日間、インターネットで実施。平成生まれ500人、昭和生まれ500人、合計1000人の有効サンプルを集計した。(文:okei)
平成生まれは「学歴がなくてもいい」、昭和生まれは「学歴は必要」が多数派に
人生において「絶対に学歴が必要」と「学歴はなくてもいい」では、どちらの考えに近いか聞いた。平成生まれでは、「絶対に学歴が必要」が9.2%、「どちらかといえば必要」が31.6%で、必要だとする人は約4割に留まった。
対して「学歴はなくてもいい」は18%、「どちらかといえばなくてもいい」が41.2%で、合計で6割近い平成生まれが「学歴は幸せな人生のために必ずしも必要ではない」と考えていることがわかった。
一方、昭和生まれでは「学歴が必要」と考える人が多数派となっている。「絶対に学歴が必要」9.8%、「どちらかといえば必要」41.2%で、必要派が合わせて51%と半数を超えた。「学歴がなくてもいい」は9.2%と平成生まれのほぼ半数で、「どちらかといえばなくてもいい」は39.8%だった。
いい学校を出たらいい会社に入れて幸せに、ということが成り立たない時代?
さほど大きな差ではないように見えるが、昭和生まれが学歴を重視する理由はよくわかる。「学歴がある」を仮に「大学卒」と考えると、この世代はどんなレベルの大学でも歴然と賃金や労働待遇に差が出ることを体感している。
就職や転職の際、募集要項が「大卒」となっていて落胆した人も多いだろう。年功序列が崩れたといっても、まだ多くの企業はこれまでのやり方を踏襲している。
対して、平成生まれに「学歴はなくてもいい」が6割を占めることは興味深い。20~28歳は大卒・高卒の違いが人生にさほど影響を与えていない、もしくは大卒であることのメリットを感じられないのかもしれない。
学歴が賃金差や信用に繋がる経験がまだ少ないことや、重い奨学金返済に苦しむくらいなら、早いうちに働きだした方がいいという考え方もあるだろう。
正確なところは、学歴別の調査を見る必要がある。しかし何より、世代別で意識に開きが出たことは、「良い学校に入れば良い就職が出来て幸せな人生になる」というような人生設計が、描けない時代であると示唆しているように思う。そうした人生にしたいかどうかも別問題で、「いまの新入社員はプライベート重視」といわれるように、何が人生における幸せなのかという、そもそもの価値観が変わって来ているのかもしれない。