トップへ

フェラーリ会長、F1側の姿勢の変化に期待も、議論の進展次第で撤退の可能性を残す

2018年05月09日 14:51  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

フェラーリ会長のマルキオンネは、2021年からの規則に対する態度を軟化させた
フェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネは、F1が将来に向けて策定中のプランをようやく前向きに検討し始めたようだ。エンジン規定に関する新たな改訂案の内容に「希望が持てた」というのだが、一方でチームとしてF1から離脱する可能性があるとした警告は取り下げていない。

 フィアット・クライスラー・オートモービルズのCEOでもある65歳のマルキオンネは、昨年11月にリバティ・メディアが2021年導入予定の新エンジン規定の草案を提出した際は、強硬姿勢で臨んだ。提案の全体構想がフェラーリの権益に合致しないとして、そのまま実施される場合はF1からの撤退も辞さないとしていたのだ。

 それ以降、新規定に関してはF1の商業権保有者、FIA、各チームの間の議論を踏まえて、草案の改訂作業が進められてきた。

 マルキオンネは、先週行なわれたフェラーリの第一四半期業績に関するアナリスト向け電話会見のなかで、以前よりもやや態度を軟化させた様子でこの件に言及した。

「リバティが2021年導入を目指す改訂草案を見て、彼らの姿勢の変化を感じた。私にとって、それは今後に向けて希望が持てるものだ」とマルキオンネ。

「多分それは、エンジン規定はF1のいわば本質を反映しているべき、と彼らが認識したことの表れだと思う。また、我々は新規参入を容易にするためだけに、エンジン開発のハードルを下げるわけにはいかないのだ」

「つまり現在提出されている案は、制度として機能する可能性を持っている。ただし経済性の観点では良くない。ここが、我々がリバティと議論しなければいけない部分だろう」

 F1が検討を続ける新規定の枠組みには、何らかのバジェットキャップや、各チームに対する分配金のより公正な配分などが含まれる見通しだ。

 リバティは、F1エンジンのハイブリッド化と市販車に適した技術への取り組みという方針は維持する一方で、独立系エンジンマニュファクチャラーの新規参入を促すために、パワーユニットの費用削減を通じた将来的な総費用抑制を約束した。

「意味のある議論を始めるための土台は、これで十分にできあがったと思う。できれば、すべての懸案事項について今年の終わりまでには何らかの結論を得たい」とマルキオンネは付け加えた。

「我々にとって重要なことは……パワートレイン技術開発の本質を変えないことだ。それこそが、フェラーリの仕事の要なのだから」

「我々はリバティや商業権保有者たち、FIAとの間で理にかなった均衡案を導き出すための作業を続けるべきだと思う。前にも話したとおり、それができない場合はチームとして撤退するだけだ」

「だが現在我々はその状況にはない。F1は懸案を終息させるために、これまで驚異的な努力を積み重ねてきた。我々としても、今年の終わりまでにそれを完了させるべく努力を続けていく」