F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに?」を尋ねる連載企画。今回はアゼルバイジャンGP予選でポールを獲得したセバスチャン・ベッテルに駆け寄っていったフェラーリの広報部長だ。
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今年のアゼルバイジャンGPの予選後、auto sport webの予選レポートに添えられた1枚の写真が話題を呼んだ。写真に写っているフェラーリのスタッフの笑顔が、ポールポジションを獲得したセバスチャン・ベッテル以上に輝いていたからだ。
通常であれば、マウリツィオ・アリバベーネ代表あたりが駆け寄るところなのだろうが、この方はアリバベーネではない。いったい、だれなのか? このスタッフはアルベルト・アントニーニといい、フェラーリの広報部長を務めるスタッフだ。
アントニーニと聞いて、聞き覚えのある名前だと感じた方は鋭い。アントニーニは2014年までイタリア・アウトスプリント誌の編集者で、日本のメディアにもよく寄稿していた人物だからだ。14年の末にアリバベーネが新しいチーム代表に就任したのに伴い、アリバベーネから広報としてのフェラーリ入りを打診されたのだった。
「昨年11月のブラジルGPのとき、アリバベーネから電話が入って『チームの広報として、君に来てもらいたい』と誘われたんだ。イタリア人にとってフェラーリは特別。二つ返事でOKしたよ」
そんなアントニーニが、なぜアゼルバイジャンGPのポールポジション獲得直後に、ベッテルと2人だけで固い握手を交わしていたのだろうか。というのも、ベッテルにはブリッタ・ロースケという個人広報がいるからだ。
「ブリッタはピットレーンおよびコースに出られるパスを所持していないんだ。そこでピットレーンにもグリッドにも足を運ぶことができるパスを所持している私が協力している。あのときは、予選直後のコース上でのインタビューを終えたセバスチャンをメディアセンターで行われる記者会見場まで連れて行く電動カート場へ連れて行くところだったんだ」
フェラーリの広報部長は、ドライバーの専属広報の仕事も兼ねるスーパーサラリーマンだった。