ウイリアムズF1チームが、第4戦アゼルバイジャンGPでのいくつかのインシデントについて再審議を行う旨、要求したが、F1スチュワードとFIAは、有効な新証拠がないとして、裁定の変更を行わないという決定を下した。
セルゲイ・シロトキンのスペインGPでのグリッド降格ペナルティなど複数の問題について、ウイリアムズが再考を求めたため、8日、バクーのレーススチュワード4名、FIAのF1レースディレクター、チャーリー・ホワイティング、ウイリアムズチームの代表者2名が参加し、テレビ会議を通じてヒアリングが行われた。
ウイリアムズが再検討を要求した問題は以下のとおり。
・アゼルバイジャンGP決勝1周目にセルジオ・ペレスと接触した件で、シロトキンにスペインGPでの3グリッド降格ペナルティが科されたこと
・決勝終盤に発生したケビン・マグヌッセンとピエール・ガスリーのアクシデントにより、マグヌッセンに10秒加算ペナルティが科されたこと(ウイリアムズはこのペナルティを不十分であると主張)
・1周目にシロトキン、フェルナンド・アロンソ、ニコ・ヒュルケンベルグが関わるクラッシュが起きたが、これについてペナルティを科さないという判断がなされたこと
・エステバン・オコンとキミ・ライコネンが接触したが、これについてペナルティを科さないという判断がなされたこと
・アロンソがダメージを負ったマシンを走らせてピットに戻ったことについて、ペナルティを科さないという判断がなされたこと
しかしウイリアムズは新たに重要な関連証拠を用意することができなかったとして、スチュワードは全会一致で、これらの決定について再検討を行わないとの決断を下した。
シロトキンとペレスの事故について、スチュワードは「1台のマシンが他のマシンのリヤに衝突したものであり、1周目に起きた他のインシデントのようにマシン同士がサイド・バイ・サイドになっていたわけではない。同様の衝突に科されるものと同様のペナルティが科され、過去に下された最小のグリッドペナルティと一致している」と説明した。
また、ペナルティを受けた時点で、ウイリアムズはこの決定に対して控訴を行っていないことも指摘されている。
マグヌッセンとガスリーのインシデントについては、マグヌッセンに与えたペナルティは前例やペナルティのガイドラインに完全に一致したものであるとスチュワードは主張した。また、2013年にFIA、チーム代表、ドライバーが協議した結果、スチュワードはペナルティを出す際にその結果を考慮しないという点で合意しているとの説明もなされた。
ウイリアムズが問題とする1周目のクラッシュについて「さらなる措置は取らず」という決定が下されたことについては、ウイリアムズには指定された時間内に抗議する権利を行使することが可能であったが、実際にはそれをしなかったと指摘された。
アロンソがダメージを負ったマシンで走行を続けた件に関しては、スチュワードは「第一に、セーフティカーが出動していた。第二にドライバー(アロンソ)は、レーシングラインを避け、集団に近づかないよう注意を払い、リスクを最小限にとどめていた」と述べている。
これにより、アゼルバイジャンGPの決勝リザルトには変更はなく、シロトキンはスペインで3グリッド降格のペナルティを受ける。