南米アルゼンチンを代表するツーリングカー・シリーズ、スーパーTC2000の第3戦が4月28~29日にアンデス山脈の東側に位置する州都メンドーサで開催され、土曜の予選レース、そしてジョーカーラップ制度が導入された日曜フューチャーレースともに、ルノースポールの王者ファクンド・アルドゥソのフルーエンスGTが制し、週末完全制覇を飾った。
ルノーを筆頭に、元WTCC世界ツーリングカー選手権ドライバーのネストール・ジロラミ擁するプジョーや、シトロエン・トタル・アルゼンティーナ、TOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナ、シボレーYPFなど、多くのファクトリーチームが参戦するSTC2000。
その強豪集う選手権で2016年にタイトルを獲得しているアグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)が、標高800mに位置する高地の高速サーキット土曜予選で見事にポールポジションを獲得。フロントロウ2番手に並んだトヨタのマティアス・ロッシ(トヨタ・カローラ)とともに、10ラップ・スプリントのクオリファイレースに臨むこととなった。
しかし迎えたオープニングラップのターン2で、先頭を争うこの2台がまさかの接触。この間隙をぬって首位浮上に成功したのが、現王者のアルドゥソだった。
中盤には11番手走行中のプライベーター・フォード、フランコ・リヴァ(フォード・フォーカス3セダン)がサスペンション破損からストップ。そのマシンを回避しようとしたエミリアーノ・スパタロ(ルノー・フルーエンスGT)がスピンオフするアクシデントが発生するも、アルドゥソは後続を引き離すべく自らのドライビングに集中して猛然とプッシュ。
元王者カナピノも現役チャンピオンを捉えようと必死の追走を見せるも、オープニングのロスを挽回するには及ばず。わずかに0.760秒差でアルドゥソがトップチェッカー。2位カナピノ、3位ロッシの表彰台に続いて4位にはジロラミのプジョーが入り、日曜フューチャーレースのセカンドロウ4番手グリッドを確保した。
明けた日曜の決勝は、27周のうちに2度のジョーカーラップが導入されるチャレンジングな1戦となり、各ドライバーはレギュラー周回より約9秒速いジョーカーを、15周目までに1度消化するよう義務付けられた。
またスタート前には2番グリッドだったカナピノに予選レースでの車両規定違反が発覚し、最後尾グリッドに降格となる波乱も起こった。
そんな状況でスタートが切られたフューチャーレースは、ポールシッターのアルドゥソが盤石のホールショットを決めレースをリード。2番手トヨタのロッシは、王者のルノーを追いかけようとプッシュを見せるも、後方からルノースポールの第2戦勝者リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)がジロラミをオーバーテイクして3番手に浮上し、チャンピオンの援護をするべくトヨタ・カローラにプレッシャーを掛けていく。
これに反応して、早々の6周目にジョーカーに飛び込んだジロラミはリードラップを奪うことに成功。続けて12周目にショートカットへと飛び込んだロッシが、ジョーカーラップ出口でルノー・フルーエンスGTに先行するも、ストレートスピードで勝った王者アルドゥソが1コーナーまでにロッシを捉えて、首位キープで15周目をクリアしていく。
その後、4番手を走行中だったジロラミにマシントラブルが襲い、この車両回収でセーフティカー(SC)が導入されると、そのSC解除のリスタートで4番手カナピノが2度目のジョーカーへ。最後尾から怒涛の追い上げを見せる16年王者が優勝候補の一角として先頭集団に戻ってくることとなった。
しかし、冷静にシボレーYPFクルーズのラップタイムペースと自車とのギャップを測っていたアルドゥソは、21周目に満を持してジョーカーを消化すると、余裕を持ってカナピノからリードを奪い返すことに成功。そのまま27周を走りきって週末2連勝。カナピノとロッシも前日に続く連続表彰台を獲得した。
4番手には王者アルドゥソをアシストしたルノーのペーニャが入り、5位以降、マニュエル・マロ、ベルナルド・レイバー、ファクンド・コンタのシボレーYPFクルーズ艦隊が続いている。
続くSTC2000の第4戦サンルイスは、5月19~20日の週末に市街地北東部に位置する風光明媚な湖と温泉地で有名なポトレロ・デ・ロス・フネスを舞台に開催される。