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BABYMETAL、なぜ新レーベル設立? 5B&Cooking Vinylとタッグ組んだ背景を考える

2018年05月08日 11:11  リアルサウンド

リアルサウンド

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 BABYMETALがアメリカで新レーベル〈BABYMETAL RECORDS〉を設立する。


 同レーベルは、SlipknotやMegadethらのマネジメントを手掛ける〈5B Artist Management & Records〉と、Marilyn MansonやThe Prodigyなどの作品をリリースする〈Cooking Vinyl〉と共に設立するもので、〈5B Management〉とはパートナーシップを結び、さらなる世界展開を行なっていく予定だ。


(参考:BABYMETALの世界的“熱狂”はどこまで広がる?


 BABYMETALは海外でも多くのファンを抱え、アーティストからの評価も高い存在。そんな彼女たちが、この2社とタッグを組んだ要因とはなんだろうか。海外のハードロック/メタル事情に詳しいライターの西廣智一氏は、その背景についてこう分析する。


「今回彼女たちとタッグを組んだ2社は、メタルやハードロックを中心としているレーベル・マネジメントではなく、いずれもミクスチャーといっていいモダンな音楽性を持ったアーティストをバックアップしている会社です。海外展開をするにあたって、純粋なメタル/ハードロックに特化したところよりも、音楽としての芯をしっかり持ちながら、様々なジャンルを取り入れているところと組むほうが、彼女たちにとってもメリットがありますし、何よりBABYMETALの存在自体がある種ミクスチャー的ともいえるので、相性はバッチリでしょう」


 また、この2社と組むことで、若年層へのさらなる波及も期待できるという。


「海外のバンドシーンにおいて、10年前くらいにハードロックやエモをやっていたバンドたちが、一定数EDM路線に向かったことで、若年層のファンを獲得しているという現象がここ数年で顕在化しています。これらのバンドも、先述した2社のアーティストも、ポップスを意識しつつ、真の部分はメタル/ラウド/パンク的なスピリットや音楽性があるというのが特徴で、BABYMETALもその系譜に列ねることができると思います。〈Cooking Vinyl〉はロンドン、メルボルン、そしてニューヨークに拠点を持っているレーベルですから、各国へのさらなるリーチが見込めますね」


 最後に、ストレートなメタル/ハードロックよりも、モダン路線へ移行したことで成功したX JAPANや、BABYMETALと同じくアミューズ所属で海外展開を成功させたONE OK ROCKの名前を挙げながら、同氏はこのように解説してくれた。


「YOSHIKIさんの首の持病も考慮してだとは思いますが、X JAPANは海外進出以降、モダン・メタル的な音作りが多くなりました。海外での評価も高いという意味では、彼らを参考に考えると今回の施策は良い流れだと思います。また、同じ事務所のONE OK ROCKは、Panic! At The DiscoやFall Out Boy、Paramoreも所属する〈Fueled by Ramen〉とタッグを組んだことで、海外進出に成功しました。BABYMETALの取り組みは、これらの先達たちが取り組んできたことの延長線上にあることとして、しっかり評価されるべき戦略でしょう」


 今月から、アメリカとヨーロッパを巡る世界ツアーをスタートさせるBABYMETAL。今回発表された新たな陣営は、これまで以上に世界へベビメタ旋風を巻き起こす足がかりとなるのだろうか。(中村拓海)