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LiSA、CHAI、のん、ポルカ、バンもん!…唯一無二の個性を示す女性アーティストの新作

2018年05月08日 10:42  リアルサウンド

リアルサウンド

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 音楽性はもちろん、ビジュアル、ライブパフォーマンスを含め、圧倒的な個性を示している女性アーティストの新作を紹介。ロックシーンとアニメシーンを行き来するLiSAの初ベスト、“コンプレックスはアートだ”というテーマを掲げるCHAIの新作など、唯一無二の音楽世界を堪能してほしい。


(関連:LiSAが語る、自身の快進撃と活動スタンス「一番の目標は『長くみんなと生きていきたい』」


■LiSA『LiSA BEST -Day-』『LiSA BEST -Way-』
 「Rising Hope」(アニメ『魔法科高校の劣等生』オープニング)、「だってアタシのヒーロー。」(アニメ『僕のヒーローアカデミア』エンディング)などを収めた『LiSA BEST-Day-』、「Catch the Moment」(『劇場版 ソードアート・オンライン ーオーディナル・スケールー』主題歌)、「oath sign」(アニメ『Fate/Zero』1stシーズンオープニング)などを収めた『LiSA BEST -Way-』。同時リリースされる2作のベスト盤が示しているのは、アニソンシーン、ロックシーンを行き来しながら、独自のポジションを築き上げてきたLiSAの7年間の軌跡だ。田淵智也、古屋真、野間康介、堀江晶太などの作家陣による楽曲を、際立った歌唱力とパフォーマンス力ともに体現し続けてきた彼女は、さまざまな壁を乗り越え、破壊しながら、ついに彼女だけの居場所を手に入れた。それは単にアニソンとロックが近づいたということではなく、才能と運と諦めない気持ちを高いレベルで兼ね備えた彼女だからこそ成し遂げられたことだと思う。


■CHAI『わがまマニア』
 70年代後半のポストパンク、ニューウェーブ直系の鋭利なバンドサウンドとともに“私たちはミュージシャンである!”と宣言する「We Are Musician」、10年代以降の海外インディーポップ経由のアレンジのなかで<わがままな わたしをみて><わたしが わたしを かわいくする>と歌う「アイム・ミー」などを収めたCHAIの3rd EP『わがまマニア』。常に他者を意識し、周囲、世間、常識と照らし合わせたうえで、自分の立ち位置を決めざるを得ない現在の世界において、徹底的に“私は私である”と表現し続けるCHAIのスタンスはきわめて魅力的であり、だからこそ彼女たちは急激に支持を高めつづけているのだ。自分たちの意志、メッセージを的確に描き出す楽曲、サウンドメイクも素晴らしい。


■のん『スーパーヒーローズ』
 シングル曲「スーパーヒーローになりたい」「RUN!!!」を含む、女優・創作あーちすと、のんの1stフルアルバム『スーパーヒーローズ』。忌野清志郎への憧れを公言し、“言いたいことを言い、やりたいことをやる”というスタンスを貫いてきた彼女。本作には彼女自身のオリジナル曲のほか、矢野顕子、真島昌利、尾崎亜美、高橋幸宏、大友良英など、日本の音楽シーンの“スーパーヒーローズ”による楽曲を収録している。パンク、ロックンロール、オールディーズなどをルーツにしたシンプルでダイナミックなバンドサウンド、率直な思いを直接的に反映したボーカルは、アーティストとしての彼女のアイデンティティを正確に伝えている。その中心にあるのは、自分の在り方は自分で決めるという確固たる意志だ。


■ポルカドットスティングレイ『一大事』
 一発で耳に残るギターリフ、高速のビートと意外性に富んだ展開、超キャッチーなメロディライン、深読みを誘う歌詞などを巧みに融合させた音楽性によって現在のバンドシーンに完璧にアジャスト、加速度的に支持を高め続けているポルカドットスティングレイの2ndミニアルバム『一大事』。「ICHIDAIJI」(映画&MBS・TBSドラマ『わたしに××しなさい』主題歌)をリードトラックに据えた本作は、このバンドの特性をさらにブラッシュアップした、バンドキッズだったら反応せざるを得ない作品に仕上がっている。正確なマーケティングに則ったプロダクションはほとんど完璧だが、雫(Vo / Gt)が予測を超えるような事象を生み出せるかどうかが今後の飛躍の鍵になってくるだろう。


■バンドじゃないもん!『BORN TO BE IDOL/恋する完全犯罪』
 HISASHI(GLAY)のプロデュースによるバンドじゃないもん!の両A面シングル『BORN TO BE IDOL/恋する完全犯罪』。「BORN TO BE IDOL」はポップに振り切ったメロディ、エレクトロ~ギターロック~ヒップホップなど情報量多めのサウンドメイクを両輪にした、バンもん本来の原色キラキラ感をたっぷり反映したアイドルポップ。そして「恋する完全犯罪」は、爆発的なギラつきを感じさせるロックサウンドとファンタジック&ミステリアスな歌詞世界がひとつになったアッパーチューンだ。バンもんの“らしさ”と“新しさ”を刺激的なバランスで提示したシングルと言えるだろう。ロックとアイドル、ネットとリアルが重層的に連なる音楽シーンを熟知した、HISASHIのプロデュースワークは流石のひと言。(森朋之)