2018年から本格的にカスタマーチームへのデリバリーがスタートし、スーパーGT GT300クラス、ブランパンGTシリーズ・アジア等にも参戦が始まった、ホンダ初のGT3カーであるNSX GT3。ただ、このマシンはホンダのレーシングカーであるにも関わらず、いわゆる『赤バッジ』と呼ばれる赤いエンブレムがつけられていない。これはなぜなのだろうか。
市販のNSXをベースとしたレーシングカーであるNSX GT3は、2017年に北米でアキュラブランドで本格的にレースデビュー。ホンダブランドとしては、2017年のマカオで世界的なデビューを飾った。18年からはカスタマーチームへのデリバリーが始まっている。スーパーGTでは、第1戦岡山でCARGUY ADA NSX GT3が完走を果たしたほか、第2戦富士ではModulo KENWOOD NSX GT3が7位フィニッシュ。初ポイントを獲得している。
そんなNSX GT3だが、GT500クラスのホンダNSX-GTや、WTCR世界ツーリングカーカップ、スーパー耐久等にも参戦するシビック・タイプR TCRとは異なり、エンブレムが赤ではない。ホンダのレーシングカーと言えば、かつてF1に参戦したRA271をはじめ、市販の『タイプR』グレードに設定される“赤バッジ”だが、これはなぜなのか。同じカスタマー向けレーシングカーでもTCRが赤いのに、NSXは赤くない。
ホンダの嶋村馨グローバルGT3プログラムマネージャーに質問をぶつけてみると、こんな説明が返ってきたのでご紹介しよう。
「シビックは『タイプRのTCR』なので、赤バッジなんです。このNSX GT3は、もともと市販車のNSXが赤バッジをつけていないものなので、通常のエンブレムなんです」と答えてくれた嶋村マネージャー。
「赤バッジをつけてしまうと、『市販車で赤バッジのグレードがある』と思ってしまいますよね。GT500は別ですが、このNSX GT3はあくまで量産車をベースとしている車両なので、量産と同じエンブレムをつけているというわけですね」
現段階では、現行NSXに『タイプR』の設定はない。そのためNSX-GT3も通常のエンブレムを装着するということだ。マーケティングの面からも理に適った対応なのだろう。