ドゥカティ・チームのふたりにとって、スペインGPの週末は厳しいものになった。ダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ・チーム)とともに繰り広げていた3人による2番手争いは、終盤のアクシデントにより3人ともが転倒という結果で幕を閉じることになったのだ。
ランキングリーダーとして第4戦のへレスサーキットに乗り込んだアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)。グリッドこそ8番手だったが、決勝レースでは周回を重ねるごとにポジションを上げる。
一方、4番手スタートのホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ・チーム)は好ダッシュを見せ、序盤はレースをリード。5番手スタートのマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)に首位を奪われてからは、ドヴィツィオーゾ、ペドロサを背後に、2番手でラップを刻んだ。
そして18周目、ドゥカティのふたりとペドロサはこの2番手争いから脱落する。ターン6でロレンソのインを突き前に出たのはドヴィツィオーゾ。しかしラインを外し、ドヴィツィオーゾ、そしてロレンソもアウト側に膨らんだ。
ドゥカティのふたりが大きくラインを外している間に、通常のラインでコーナーに飛び込んできたのは4番手を走行していたペドロサだ。しかし、ちょうどロレンソがラインを回復した先にペドロサがいた。ふたりは接触し、瞬間、ペドロサはハイサイドを喫する。ロレンソはそのペドロサに当たり、バランスを崩してドヴィツィオーゾに接触。2番手争いを演じていた3人が一気にレースからリタイアする結果になった。
ドヴィツィオーゾはこのアクシデントについて、「残念だ!」と振り返る。
「数周にわたってホルヘをパスしようとしていて、限界の状態だった。僕のラインはワイドになってしまい、ホルヘも少しだけ膨らんだ。ダニは前が開けたのを見て、そこにあまりに速く飛び込んできた」
また、ロレンソも「本当にこのクラッシュには失望したよ」と久々の表彰台争いから一転、転倒リタイアとなったことを悔やんだ。
「僕たちはとても不運だった、そしてこれはレーシング・アクシデントだ。ペドロサには厳しい結果になってしまったけれど、僕たちが誰かを非難できるとは思わない。アンドレアとドゥカティには、本当に申し訳ないと思うよ」
結果的にゼロポイントで終えることになったスペインGPだが、ドヴィツィオーゾもロレンソも前向きな感触を感じてはいたようだ。特にロレンソは2018年シーズン、いまだシングルフィニッシュを果たすことができていない。今大会で予選で2列目4番手を獲得し、表彰台争いを演じたことは前向きに受け止めているようだ。
「全体的に、この週末には満足もしているんだ。このレースは前進するための第一歩だよ」
ポイントリーダーとしてへレスにやって来たドヴィツィオーゾも、ランキングを5番手に落としたことには「非常に強いライバルたちと戦っているのだから、ノーポイントというのは厳しい結果だ」としつつも、一方でレースでは満足した部分もあるという。
「バイクと僕の速さ、そしてレースのマネジメントについて、僕は満足しているよ。初めからほとんどマルケスと同じペースで周回できたことは、とても満足だ」
へレスから始まるMotoGPのヨーロッパラウンドはまだこれからだ。ドゥカティ・チームのふたりは次戦フランスGPから、転倒リタイアとなった今大会の巻き返しにかかる。