北米大陸で初勝利を飾ったリアルタイム・レーシングのFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR 北米の人気カテゴリー、PWCピレリ・ワールドチャレンジに2018年から新設されたTCRクラスの第2戦がバージニア・インターナショナル・レースウェイで開催され、ライアン・エバースレーがドライブするリアルタイム・レーシング(RTR)のFK8型ホンダ・シビック・タイプR、がレース1で勝利。北米大陸でホンダの新型TCRモデルに初の栄冠をもたらした。
IMSAと並び北米の2大GTカテゴリーとして並び立つPWCに、昨季はアキュラの開発部隊として2台のプロトタイプNSX GT3で参戦したRTR。
そのプロジェクトが終了し、ホンダ(アキュラ)NSX GT3が無事にカスタマーデリバリーを開始したことを受け、今季はその活動を転換。PWCに新たに設けられたTCRクラスに投入するFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRを、昨季もNSX GT3のドライバーを務めたエバースレーに託してシリーズに参戦している。
ノースカロライナ州との州境にほど近いトラックで開催された土曜の予選で、そのエバースレーは幸先良くポールポジションを獲得。スタートではフロントロウに付けていたアウディRS3 LMSのジェリミー・ダニエルが遅れ、代わってヒュンダイi30 N TCRのマーク・ウィルキンスが2番手浮上。エバースレーのテールにピタリとつける展開となる。
今季RTR最大のライバルと目される、このブライアン・ハータ・オートスポート(BHA)のエースは、ヒュンダイのトップカスタマー待遇のチームにふさわしく開幕戦のCOTAを完全制圧しており、このバージニア戦でも執拗にシビックの背後を伺いながらファステストラップを記録しつつ、新型シビックの隙を伺うレースを披露する。
しかしRTRには幸運が訪れたと言うべきか、レース終盤にウィルキンスのヒュンダイにトラブルが発生。スローダウンしながら、なんとかコース上に留まっていたものの、残り周回が4周となった時点で無念のストップ。
不運に見舞われたチームメイトに代わってグリッド後方からの猛追で2番手に浮上してきたマイケル・ルイス(ヒュンダイi30 N TCR)のスパートも及ばず、首位エバースレーは17秒以上のマージンを持って21周のレースを制すトップチェッカー。
エバースレーはポール・トゥ・フィニッシュという完璧なレース運びで、ホンダ・レーシングの新型モデルによる北米初勝利という記録を歴史に刻むこととなった。
「今日はホンダにとって素晴らしい1日になったね。RTRとこのTCRプログラムに携わるすべての人たちにお礼を言いたい。ヨーロッパでの勝利に続いて、今日は僕らの新型シビツクが北米で初めての勝利を記録することができた」と喜びを語ったエバースレー。
「クルマの出来は本当に満足できるもので、トラフィックの処理も問題なかった。マーク(・ウィルキンス)と僕は素晴らしいバトルをしたし、彼とは常にクリーンで互いをリスペクトした勝負ができることに改めて敬意を表したい。それこそ、我々がプロフェッショナルとして求められていることのすべてだからね」と、昨季までRTRでチームメイトだったライバルを称賛した。
続いて開催された日曜のレース2は、そのBHAのチームメイト、ルイスがポールポジションを獲得。しかしポールからスタートしたルイスのヒュンダイに、昨日チームメイトを襲った症状と同様のトラブルが発生。
これにより2番手スタートながら、オープニングのバトルでトラックリミットを外れてポジションダウンを喫していたRTRのエバースレーが先頭集団にカムバックするのを助け、今季2勝目を飾ったウィルキンスに次ぐ2位表彰台を確保。連日のポディウムフィニッシュを果たしている。