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松雪泰子、溢れ出す母親としての愛 『半分、青い。』いよいよ東京編へ

2018年05月06日 14:52  リアルサウンド

リアルサウンド

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 朝ドラの大きな共通点として、“家族の物語”であることが一つ挙げられる。『半分、青い。』(NHK総合)も例に漏れず、ヒロインである鈴愛(永野芽郁)の生活には、楡野家の面々がいつもいる。


 第5週「東京、行きたい!」では、漫画家・秋風羽織(豊川悦司)から“規格外の天才”と評された鈴愛が、秋風の弟子になるために東京行きを決断する。しかし、それを打ち明けられた母・晴(松雪泰子)と父・宇太郎(滝藤賢一)は猛反対。溢れんばかりの愛情を持って娘を育ててきた両親と、目の前に広がる未来に夢を見て突き進む娘。雛鳥がいつか親元を離れて巣から育っていくように、鈴愛の東京行きを受け止める宇太郎、そして晴の姿が今週は描かれた。


 宇太郎は晴にとっての一番の理解者であり、2人は恋人同士のような仲睦まじい関係だ。つくし食堂を切り盛りする晴は、たくましいイメージもある一方で、涙もろく心配をしてばかりで、少し抜けている部分がある。楽観的で漫画の好きな宇太郎は、心もとないときもあるが、いざとなったら晴の近くにいる味方。小学生のときに鈴愛が律と一緒に作った、失聴した左側の世界を表すゾートロープを抱え弱音を吐く晴を、宇太郎は冗談交じりに励ました。晴が宇太郎の胸でそっと涙を流すシーンは、信頼し合う2人の関係性を象徴したものだった。持病を持つ晴が初めて妊娠をしたときも、鈴愛が左耳を失聴したときも、宇太郎と晴は手を取り合ってきた。


 愛情深い人々に恵まれた岐阜から、厳しい都会の東京へと遠くに旅立ってしまう。子供だと思っていた鈴愛と律も、もう大人として自分たちの道を歩み始めようとしている。律の母親・和子(原田知世)からそう教えられても、晴にとって鈴愛は可愛くて仕方のない娘には変わりない。鈴愛の決断を受け止めたはずの晴だったが、寂しさから涙が溢れ出す。それは鈴愛が子供から大人へと成長したことを実感した瞬間でもあった。


 晴が鈴愛に見たものは、夢見る力と憧れる力。反対していた漫画の世界も、競争の世界ではなく、夢の世界だと理解できた。「鈴愛の夢はお母ちゃんの夢や。娘が夢を持つことはうれしい」。どれだけ晴が鈴愛のことを思ってきたか、そのすべてが鈴愛の涙ぐんだ表情に表れていた。


 第6週「叫びたい!」では、いよいよ鈴愛が東京へと羽ばたいていく。メインの舞台も岐阜から東京へ移り、登場キャラクターも入れ替わっていく。付かず離れずだった鈴愛と晴が共演するのもしばらくお預け。公式サイトでは、晴を演じる松雪泰子のインタビューが公開されており、「たまに顔を合わせるシーンでは、鈴愛にも芽郁ちゃんにも『お母ちゃんがついているから大丈夫』と感じてもらえるような存在でいたいですね」と、役柄を超えた母親にも似た愛情が松雪の中にあることが語られている。そんな松雪は、晴として鈴愛を東京へとどのような表情で送り出すのだろうか。(渡辺彰浩)