FIA-F4選手権の第2大会が富士スピードウェイで開催され、第3戦、第4戦ともに角田裕毅(HFDP/SRS/コチラレーシング)がポール・トゥ・ウィンを達成。第2戦からの連勝記録を3に伸ばすこととなった。
ゴールデンウィークまっただ中の富士スピードウェイで行われたFIA-F4は、前日までドライコンディションが保たれていたものの、予選日は早朝まで降り続いていた雨によって、路面は濡れた状態からのスタートとなっていた。
幸い、すでに雨はやんでいたことから後半にコンディションが向上していくものと思われたが、代わりに霧がコースを次第に覆うことに。セッション残り10分を切ろうという頃、ついに視界不良のため赤旗が出され、そのまま終了となってしまう。
そんな困難な状況において、ベスト、セカンドベストともにトップタイムをマークしたのは、第2戦を制した角田だった。
「最初のうちは自分にもミスがあったり、引っかかったりもして、とりあえず抜いておこうと。結果的に最後になった2周でタイムが出せた感じで、走りには満足していませんが、2戦ともポールが獲れて良かったです。決勝は練習でも調子良かったのでドライで走りたいですけど、ウエットでも大丈夫でしょう」と角田。
第2戦の2番手は平木玲次(茨城トヨペットINGING F4)が、3番手は名取鉄平(HFDP/SRS/コチラレーシング)が、そして4番手は金澤力也(SPASHAN Works Racing)が獲得した。
予選を赤旗中止に追い込んだ霧はメインレースのスーパーGTにも影響を及ぼし、タイムスケジュールの大幅な変更を強い、FIA-F4の第3戦決勝レースも40分遅れでのスタートとなった。
路面は一部にウエットパッチを残すだけまで回復し、全車がドライタイヤを装着。好スタートを名取が決めるも、角田は逆転を許さず、1コーナーにはトップで進入。名取には平木が、そして戦列復帰なった小高一斗(FTRSスカラシップF4)が予選6番手から順位を上げて続いた一方で、金澤は痛恨のスタートミスで順位を大きく落としていた。
スタートからペースを上げる角田と名取に、後続のドライバーたちがついていけたのは、オープニングの1周だけだった。後続集団では2周目の1コーナーからコカコーラコーナーにかけて激しい攻防があり、その間に差が一気に広がる。
そして3番手に浮上したのは小高で、ブランクを感じさせないアグレッシブな走りをさっそく見せつけた。やがて小高も単独走行としていくなか、代わってバトルを繰り広げたのが平木と川合孝汰(DENSOルボーセF4)、かつてのチームメイト同士だった
8周目のダンロップコーナーで川合が前に出るも、平木はそのまま最後まで離れず。しかし、再逆転は許されず、川合が4位を獲得した。
その間にも激しくトップを争い合った角田と名取ではあったが、互いに隙を見せることなくテール・トゥ・ノーズ状態を、最後まで保ってチェッカーを受けることに。「スタートがまず決まって、そのまま逃げるつもりだったんですが、できなかったのでミスなく走ることを心がけ、優勝することだけに専念して走りました。なぜ離せなかったのか、分かりません。これからしっかり検証して、明日のレースこそぶっちぎって勝つ予定です」と角田。
第4戦決勝レースも、ドライコンディションで争われた。ここで角田の脇に並んだのは名取で、2列目には金澤と川合、そして3列目には小高と大滝拓也(SRS/コチラレーシング)が。またしてもスタートを決めたのは名取だったが、第3戦同様、角田は逆転を許さず。そして川合と金澤が順位を入れ替えて続き、さらにダンロップコーナーで小高が5番手に浮上する。勢いに乗る小高は、2周目のダンロップコーナーでも金澤を抜いて4番手に。
今回のトップ争いは、角田と名取、そして川合の三つ巴から始まるも、徐々に川合が遅れをとるように。それでも、なかなか名取を引き離せないことから、角田は一計を案じる。
「正直なところ僕も苦しくて、『早く後ろが来ないかな』と思っていて、ごちゃごちゃになってくれれば離せるだろうと。それで1コーナーのブレーキングとかでタイミングをずらして、そうなるようにしました」と角田。この作戦が成功し、名取と川合が接近すると、11周目にバトルがぼっ発。この隙に角田がリードを広げてみせた。
名取を攻めたてる川合だったが、逆転できなかったばかりか、後方の小高や菅波冬悟(OTG DL F110)をも近づけ、12周目の1コーナーには4台が連なって飛び込むことに。川合は接触を避けるため、ダートに足を落とし、6番手にまで後退。名取、小高、菅波の順でコカコーラコーナーに飛び込んでいく。
だが、バトルはこれに留まらず、14周目のコカコーラコーナーでは小高が名取を抜いて2番手に浮上。さらに名取は最終ラップの1コーナーで菅波に、そしてヘアピンで川合に相次いで抜かれてしまう。
作戦を成功させた角田は、5秒差での圧勝にも、逃げきる自信がなかったわけじゃないですが、本当は自分の実力で勝ちたかったので、本心では喜べないレースでした」と本音を漏らしたが、その“匠”ぶりが光ったのは間違いない。
2位は小高で、2戦連続で表彰台へ。「今回はスピードが足りなくて、一時は諦めていました。チャンスが来たから何とかなりましたが、ちょっと怖かった(笑)。次の鈴鹿からは行きますよ」と気合充分。3位の菅波は、予選10番手からの躍進を果たした。