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竹内涼真が語る、デビュー5年目で感じる役者としてのやりがい「正解がない道なので楽しいのは間違いない」

2018年05月06日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 『チーム・バチスタ』シリーズの作者・海堂尊の小説『ブラックペアン 1988』が原作のTBS日曜劇場『ブラックペアン』。主演の二宮和也演じる、手術成功率100%を誇る天才外科医で“オペ室の悪魔”の異名を持つ渡海征司郎が、大学病院という巨大組織に立ち向かっていく本作では、第1話から濃密なドラマが展開し、反響を呼んでいる。


 今回リアルサウンド映画部では、本作で常識外れの渡海の言動に翻弄される、研修医1年目の世良雅志役を演じる竹内涼真にインタビューを行った。渡海と接していく中での葛藤と戦いながら、医師として成長していく役どころを演じる竹内に、念願だったと話す医療ドラマの現場についてや同世代の俳優たちへの思いを聞いた。


参考:【画像】竹内涼真撮り下ろしショット(サイン入りチェキプレゼント企画あり)


■「また新しい自分を見せていきたい」


ーー『下町ロケット』『陸王』『ブラックペアン』とTBS日曜劇場の出演が続いていて、もう日曜劇場の常連メンバーのようですね。“日曜夜の顔”というイメージも定着していきそうな気がします。


竹内:顔と言えるまでではないと思うんですけど(笑)、そう思っていただけることは嬉しいです。毎回役を演じるときには、視聴者の方に「今回もいいな」と思ってもらえるようにするのが一つの目標で。僕自身も『陸王』で演じた茂木は、結構インパクトの大きな役だったなという印象が強いので、同じ枠に続けて出られるということでまた新しい自分を見せていきたいと思っています。


ーー『陸王』では、連続ドラマとしては異例の大規模なエキストラを募集するなど、撮影現場がとても話題になっていましたが、『ブラックペアン』の現場はいかがですか?


竹内:『ブラックペアン』もたくさんのエキストラさんにご協力いただいています。『陸王』のときと比べると、よりエキストラさんがきちんとお芝居をしてるシーンが多いかもしれません。『陸王』では、マラソン大会の観客役などで、大勢のエキストラさん全体を映すことが多かったのですが、『ブラックペアン』では、登場するキャストが密集したなかにエキストラさんがいるので。あと、セットがすごいんです。僕は『陸王』ではセットでの撮影がなかったので、その分の新鮮さもあるかもしれませんが、手術室、医局、仮眠室など、初めて入ったときに「うわっ!」とビックリしました。空間も医療器具も本物に近いものがあるので、医者としてちゃんと緊張できる環境ができていて、僕ら俳優としてはすごく贅沢なありがたい現場です。


ーー竹内さんはこれまでホームドラマや青春ドラマ、学園コメディなど様々なジャンルの作品に出演していますが、なかでも医療ドラマへの出演は念願だったそうですね。


竹内:小さい頃によく観ていたんです。もちろんいろんなジャンルのドラマを観ていたんですけど、『救命病棟24時』(フジテテレビ系)、『JIN -仁-』(TBS系)、『Dr.コトー診療所』(フジテレビ系)、『チーム・バチスタの栄光』(フジテレビ系)など、記憶の中で医療ドラマが鮮明に残っているんです。僕がこの世界に入って、「どういうドラマをやりたいですか?」と聞かれたときに、「医療ドラマ」がパッと思い浮かんでそう答えたこともありました。いま念願叶って撮影に入ってみて、実際はものすごく大変なんだなと感じています。


■「気持ちを作る上での準備は楽しくない」


ーー初の医者役を演じるにあたり、どのようなイメージを持って臨んでいますか?


竹内:もちろん自分としては医者の仕事は全く経験しないことなので、そこで生きている人たちの気持ちがとても新鮮に思えました。だから、しっかり気持ちから作り込んで演じなければいけないなと。ビックリして、困って、動揺してという、一つひとつの事柄に感情が動く、世良の新鮮なリアクションを、妥協せずに演じることは意識しています。世良は自ら心臓外科医を志望してそこに配属されたエリート研修医なので、できる人間ではあるんですけど、その強気な部分が第1話、第2話で打ち砕かれてどんどん脆くなっていきました。世良が落ちていく中で、人間本来の情けなさのようなものが見えるよう試行錯誤しています。


ーー天才外科医・渡海征司郎(二宮和也)の存在を前に葛藤する世良というキャラクターですが、これまで演じてきた役柄と比べて演じる難しさはありますか?


竹内:世良は苦悩している役なので、気持ちを作る上での準備は楽しくないし、苦しいです。『陸王』のときは強いプロスポーツ選手の役だったので、モチベーションも強気になっていって楽しかったのですが、世良は演じていてスッキリしないし、手応えがまだ得られていない部分もあります。だけど、逆に、そういう役なのかなとも思うんです。やりきったと感じるシーンがあまりないことも、僕にとっては新しい感覚なんですよね。最終回までに世良がどれだけ成長するのか、医者としてどういう生き方をしていくのか、僕の演技の変化と重ねて見せていけたらなと。とりあえずボロボロになっているので、応援してあげてください(笑)。


ーー世良の体育会系出身という点は、竹内さんにも重なる部分があるように感じます。


竹内:世良は、自信や強気な面を全て先生たちにぶち壊されて、何もできないでいるシーンが多くて、精神的に弱くなっています。そういう時期はもしかしたら、僕にもあったかもしれませんが、自分に似ているかと言われたら、似ていないですね。僕は普段、「どうしようどうしよう……」となるような性格ではなくて、単純なんです! だから演じていて余計に、なんでこいつ(世良)は、こんなにできないんだろうと思いますね(笑)。


ーー芝居の面でも迷いはない?


竹内:現場で正解を探すことに関しては、ちゃんと時間を割いて悩んで考えます。研修医という言わば一から始めていく役なので、視聴者の皆さんの目線に寄り添った芝居をしようと意識はしているんですけれど、病院のことを初めて知る人から見れば、医者側に立つことをあまり強くしすぎてはいけないし、弱くなりすぎてもいけないし、そのバランスをとっていくのが難しいです。どうすれば視聴者の方がドラマの中にすっと入れるのかを探っています。


■「先輩と比べたら、僕の経験なんて小っちゃい」


ーードラマでは渡海からの影響を受けていく世良ですが、実際に竹内さん自身も現場で二宮さんから刺激を受けることはありますか?


竹内:二宮さんとは一緒にお芝居をしていて、とてもゾクゾクします。いろんな場を踏んできている二宮さんだからこそ、『ブラックペアン』の現場でも、やりたいことや思い描いていることを、すぐにパッと演技に出せているんだなと感じますね。それって本当にいろんな経験を経て、何周も何周も繰り返して持てた確信や自信がようやく結びついて、表に出せることだと思うんです。


ーー竹内さん自身、昨年の活躍を踏まえて、役者としての自信や手応えはいかがですか?


竹内:『ブラックペアン』で共演している先輩と比べたら、僕の経験なんて小っちゃいですよ。どの現場でも収穫はありますが、毎回初めてのタイプの芝居に挑戦して、現場で上手くいかなったり、オンエアを観て全然ダメだったなって反省したり、その繰り返しです。たまにちょっとの手応えを感じるときには、それを自信に変えて、また新しいことに挑戦していきたいなとは思っているんですけど、やはり実際は難しいことが多くて。僕の芝居と、視聴者の方に良いなと思っていただける演技が違ったり、僕の中のどの引き出しをチョイスして監督にOKしてもらえるかで違ってくることもあるし、そこは面白いところでもあるんですけどね。最近は自分がしっくりきているだけではダメなのかなと考えるようになりました。正解がない道なので楽しいのは間違いないです。


■「同年代の俳優の活躍はチェックします」


ーーちょうど1年前に映画『帝一の國』の舞台挨拶で「日本の映画界を一緒に盛り上げられるように、一生仲間として一緒にやっていけたらなと思います」と話していたのが印象的でした。同世代の俳優の活躍を意識することはありますか?


竹内:みんながどんなことをやっているのかは気になるので、同年代の俳優の活躍はチェックしますね。ちょうどライダーのときに『劇場版 仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー』で出会った真剣(新田真剣佑)は、今2つの出演作(『ちはやふる -結び-』『パシフィック・リム:アップライジング』)が公開されているのはすごいなと思うし。菅田(将暉)くんも、(山崎)賢人くんもそうですね。『帝一』みたいに同世代で作る映画はすごく楽しいので、みんなで頑張ってまたやりたいなと思いますし、彼らが良い作品を作っていたら、僕も次にまた頑張らなきゃなと刺激を受けます。


ーー『ブラックペアン』をはじめ、今夏公開の映画『センセイ君主』での主演など、今年もたくさんの活動を控えていますが、その忙しさをどう受けて止めていますか?


竹内:もちろんどの作品も大変ではありますが、毎回どんなリアクションが返ってくるのかを楽しみにしているので頑張れます。基本的に力は抜けている方なので、ストレスが溜まっていると感じることもあまりなくて。忙しくてもできるだけ人と会うことでいろんなことをインプットしていきたいなというのはありますね。休みがいっぱいあっても自分のテンポが崩れてしまうので、リズムを保ちながら過ごしていきたいです。


ーー役者としてデビューしてから5年目。今後の展望を教えてください。


竹内:「あ~5年経ったのか」って感じですけど、思い返すとあっという間だという感覚もなくて。これから何十年が経ったら、あっという間だったと感じてしまうんだろうけど、1カ月、2カ月を僕の中できちんと過ごしている感覚があるので、それを大事にしたいですね。もう25歳なので、もう1回ちゃんと周りを見て、もっと考えて過ごしていきたいなと考えています。勢いはこれからもずっと大事だと思いますが、より細かくテンポを刻みながら頑張っていきたいです。


(取材・文=大和田茉椰)