2018年05月05日 09:42 弁護士ドットコム
暦の上で連休なら、これまでにたまった有給休暇も一緒に消化して、長期のお休みを取りたいという人もいるでしょう。でも職場には快く思わない人がいることもあります。
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弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、管理職とみられる人からこのような相談が寄せられたことがあります。「連休は5日間程度が標準となっている部署で、ひとりだけ20日ほど連休を申請する社員に対し、職場秩序の維持をどのように図ればいいでしょうか」。
有給休暇をどのように活用するかは、「一義的には労働者の自由だ」と思って、上記のように連休と有給休暇を足し合わせて20日間休む、という申請を職場によって断られることはあるのでしょうか。労働問題に詳しい八木大和弁護士に聞きました。
ーー基本的には長期の有給休暇も取れるはずですよね
「有給休暇の取得は労働者の年休権の行使であり、原則として自由に指定することができます。したがって、長期休暇も原則として取得可能です。
もっとも、使用者は『事業の正常な運営を妨げる場合』に該当すると、時季変更権を行使することができます(労基法39条4項但書)」
ーー「事業の正常な運営を妨げる場合」という理由を柔軟に使われると労働者は休みにくくなりそうです
「この『事業の正常な運営を妨げる場合』の要件はかなりハードルが高く、使用者は、当該労働者の担当業務内容や休暇期間を考慮の上、代替要員が確保できるかどうか検討や調整の努力をしなければなりません。ですので、その検討もなく長期休暇を拒むことはできません。
もっとも、日本では長期休暇取得が根付いていない現状からすると、労使間の協議を事前に行うことが望ましいでしょう。すべての職場で、長期の有給休暇を取得しやすい環境が当たり前になってほしいと思います」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
八木 大和(やぎ・ひろかず)弁護士
大学卒業後、4年半企業で働く。受験勉強期間中も様々な職を経験。その中で労働者の権利が守られていないことを実感。現在は、一般民事のほか、過労死、過労自殺、解雇、雇止め、残業代請求等の労働事件を手掛けている。
事務所名:福岡第一法律事務所
事務所URL:http://www.f-daiichi.jp