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赤旗続出、波乱のWEC予選をトヨタが制圧。大クラッシュのフィッティパルディ負傷か

2018年05月05日 00:41  AUTOSPORT web

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2018/19年WEC開幕戦スパ6時間のポールポジションを獲得した7号車トヨタTS050ハイブリッド
2018/19年WEC世界耐久選手権は5月4日、2名のドライバーのアタックラップタイムのアベレージでグリッド順位を決定する公式予選が行われ、マイク・コンウェイと小林可夢偉がドライブしたTOYOTA GAZOO Racingの7号車(コンウェイ/可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)がポールポジションを獲得した。総合2番手は8号車トヨタTS050ハイブリッドがつけ、レベリオン・レーシングの1号車レベリオンR13・ギブソンが総合3番手、プライベーター勢最上位となっている。
 
 前日の練習走行日から続く晴天の下、気温19.4度、路面温度24.4度というコンディションで開始された開幕戦の公式予選は、スパ名物のオー・ルージュで発生したクラッシュなどにより、2度に渡ってセッションが中断する波乱の展開となった。
 
 オンタイムで開始されたLMP1とLMP2クラスの予選だったが、開始直後にSMPレーシングの17号車BRエンジニアリングBR1・AERがケメル・ストレート上でストップ。これを回収するため1回目のレッドフラッグが提示される。
 
 セッション再開後、各車がアタックに向かうなかで8号車トヨタを駆るフェルナンド・アロンソが1分55秒134というベストタイムをマークすると、直後を走る7号車トヨタのコンウェイが1分54秒679を出してこれを上回る。
 
 この直後、コース上ではドラゴンスピードの10号車BRエンジニアリングBR1・ギブソンを駆るピエトロ・フィッティパルディがオー・ルージュで姿勢を崩し、正面からタイヤバリアに激突するクラッシュが発生。セッションはふたたび赤旗中断となった。

 ドライバーの救出ならびにマシンの回収、さらに崩れたタイヤバリアの補修を行う関係で20分以上の中断期間を経て、セッションは現地時間16時28分に再開される。
 
 すでにひとり目のアタックを終えていたトヨタは、可夢偉と中嶋一貴をそれぞれコースに送り出し、暫定3番手につける1号車レベリオンはニール・ジャニから代わったブルーノ・セナがコースインしていった。
 
 1周のウォームアップの後、上位3台は連なる形でアタックラップへ。ここでトップタイムをマークしたのは7号車トヨタを駆る可夢偉。全体ベストとなる1分54秒488は8号車トヨタを駆る一貴のタイムを約コンマ3秒上回るもので、ドライバー2名のアベレージタイムで決まる予選ポールポジションを確実なものとした。

 トヨタ勢に次ぐ総合3番手に入った1号車レベリオンは、セナがチームのベストタイムを更新する1分56秒264を記録するも、上位には遠く及ばず。また、総合4番手につけた3号車レベリオンもベストタイムは1分56秒台に留まり、予選一発の速さではトヨタ勢に分があることは明らかな様子だ。なお、総合5番手以下のSMPレーシング、バイコレス・レーシング・チームは1分58~59台のタイムとなっている。

 LMP2クラスはシグナテック・アルピーヌ・マットムートの36号車アルピーヌA470・ギブソン(ニコラス・ラピエール/アンドレ・ネグラオ/ピエール・ティリエ組)がポールポジションを獲得。タイムは2分02秒405だった。
 
 スポット参戦のGドライブ・レーシング、26号車オレカ07・ギブソンがトップから0.024秒という僅差でクラス2番手に。同3番手となったジャッキー・チェン・DCレーシングの38号車オレカまでが2分02秒台に入っている。

 LM-GTEプロクラスは事前のプロローグ・テスト、今戦のプラクティスと好調を維持するフォードとポルシェ勢がここでも速さをみせ、フォード・チップ・ガナッシ・チームUKの67号車フォードGT(アンディ・プリオール/ハリー・ティンクネル/トニー・カナーン組)が2分12秒947というタイムでポールポジションを獲得。僚友66号車フォードGTが2番手に入りフロントロウを独占した。
 
 一時はフォード勢の間に食い込んだポルシェだったが、91号車と92号車ポルシェ911 RSRは2分13秒台のアベレージタイムでクラス3、4番手に。5番手には今ラウンドがWECデビュー戦となるBMWチームMTEKの82号車BMW M8 GTEが入ったが、92号車ポルシェから約1秒遅れる結果となっている。
 
 計9台で争われるLM-GTEアマクラスではトップ5がコンマ5秒以内に入る接戦となり、2分16秒357をマークしたデンプシー-プロトン・レーシングの77号車ポルシェ911 RSR(クリスチャン・リード/ジュリアン・アンロエア/マット・キャンベル組)が、前年王者のアストンマーチン・レーシング、98号車アストンマーチン・ヴァンテージを0.002秒差で抑えてクラスポールを奪取。3番手は新規参戦チームであるチーム・プロジェクト1の56号車ポルシェ911 RSRが入った。
 
 石川資章を擁するMRレーシング、70号車フェラーリ488 GTEは2分18秒512というタイムでクラス7番手、澤圭太が所属するクリアウォーター・レーシングの61号車フェラーリ488 GTEはクラス9番手から追い上げを図る。

 WEC“スーパーシーズン”の開幕戦、スパ6時間レースの決勝は5月5日(金)13時30分(日本時間20時30分)にスタートが切られる予定だ。

 予選後、FIA国際自動車連盟はクラッシュを喫したフィッティパルディについて声明を発表。事故後ドライバーの意識ははっきりしており、生命を脅かす状態ではないが、足の骨折が疑われるため、リエージュの病院へドクターヘリで輸送したという。

 2度のF1ワールドチャンピオン、エマーソン・フィッティパルディの孫にあたる(ピエトロ・)フィッティパルディは今季、デイル・コイン・レーシングからインディアナポリス500を含むシリーズ7戦に出場する予定であり、国内では全日本スーパーフォーミュラ選手権にUOMO SUNOCO TEAM LEMANSから参戦中だ。