2018年のスーパーGT第2戦富士は5月4日、110周の決勝レースが行われ、スーパーGT300クラスはARTA BMW M6 GT3がポールトゥウィンを達成。ドライバーの高木真一が通算19度目のGT300優勝を飾り、GT300優勝回数で単独首位におどり出た。
前日の濃霧が嘘のように朝から青空が広がった富士スピードウェイ。決勝日は強い日差しが照りつけ気温は上昇傾向にあるが、冷たい風が吹きつけ肌寒さすら感じる陽気となった。
また大型連休ということもあり、サーキット周辺道路は朝から渋滞が発生、グランドスタンドも満員になるなど盛況ぶりをみせている。
決勝レースは定刻の14時40分にスタート。GT300はポールシッターのARTA BMWを先頭にSUBARU BRZ R&D SPORT、グッドスマイル 初音ミク AMG、SUBARU BRZ R&D SPORTと1コーナーをクリアしていった。
アドバンコーナーでは予選8番手だったGAINER TANAX GT-Rと同13番手だったCARGUY ADA NSX GT3が接触。これによりGAINER TANAX GT-Rは大きく順位を落としている。
GT300クラスの上位陣は、GT500クラスが11周を消化した時点でLEON CVSTOS AMGが6番手まで後退したほかは大きな順位変動はなし。ARTA BMW、SUBARU BRZ、初音ミクAMG、31号車TOYOTA PRIUS apr GT、シンティアム・アップル・ロータス、LEON AMGと続いていく。
迎えた20周目、初音ミクAMGの背後にぴたりとついた31号車プリウスの平手晃平がTGRコーナー(1コーナー)への飛び込みでインからオーバーテイクに成功。表彰台圏内に浮上すると富士は不得意とされるJAF-GT勢が2~3番手につける展開に。
一方、トップのARTA BMW高木はひとり旅を続け、GT500が27周目に突入した時点で11秒もの大量リードを築いてみせた。
GT500が30周目を迎えたところで、第1戦を制したUPGARAGE 86 MCがライバルより早めにピットイン。マザーシャシー“お家芸”とも言えるタイヤ無交換作戦を決行してコースへ復帰。
また、その後にはHOPPY 86 MCがピットイン。こちらもルーティンピットかと思われたが、トラブルが発生していたようで、そのままガレージへマシンを入れてしまった。
GT500が41周目に入るタイミングで10秒以上のマージンを築いていたARTA BMWがピットイン。51.8秒のストップタイムでコースへ戻っていった。
その2周後にはピット作業を引っ張っていたロータスが一度目のピット作業へ。これでARTA BMWが見た目上でもトップに復帰。2番手にSUBARU BRZ、3番手に31号車プリウスが復帰した。
レース折り返しの55周目を過ぎた61周目、2番手を走っていたSUBARU BRZのボンネットから突如、白煙が。ドライブしていた山内英輝はダンロップコーナー立ち上がりのシケインで冷静にマシンをランオフエリアに止めた。
マシンを離れた山内は一度天を仰ぐと、ガードレールを叩きつけて悔しさを爆発。その後も出動してきたFRO車両にはすぐに乗り込まず、コース脇からマシンを見つめて無念さをにじませた。
このアクシデントでクラス2番手に31号車プリウスが浮上。3番手に初音ミクAMGが続くオーダーとなっている。
その後もトップを走るARTA BMWにはハプニングなどはなく、GT500が80周目に入ろうかというタイミングで2度目のピットイン。ふたたび高木がステアリングを握って実質上トップのままコースへ復帰した。
この時点で暫定トップにつけた初音ミクAMGは、レースが残り20周となったタイミングで最後のピットへ。メカニックがタイヤをチェックした後、富士では負荷がかかる左側のタイヤ2本を交換してコースへ復帰した。
表彰台圏内の3番手でコースに戻った初音ミクAMGだったが、すぐ後方にGAINER TANAX GT-Rが迫ると、冷えている左タイヤに負荷のかかるトヨペット100Rでわずかに失速。アウト側からGAINER TANAX GT-Rにオーバーテイクを許して、4番手にポジションを落としている。
トップを走るARTA BMWは結局、ピット以外ではポジションを譲ることなく富士を完全制圧してチェッカー。2017年第5戦富士に続いて、富士スピードウェイで2戦連続のポールトゥウィンを達成した。
また、高木はこれでGT300通算19勝目。同率タイだった新田守男を抜いて、単独最多優勝記録を打ち立てている。
その高木は「新田さんがさっきおめでとうと言ってくれました。うれしかったです(笑)。ただ、クルージングと言うほど余裕はありませんでした」とレースをふり返っている。
2018年のスーパーGT第3戦は5月19~20日に鈴鹿サーキットで開催。昨年までとは異なり、通常レースと同じ300kmで争われる。