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ディーン・フジオカの“お説教シーン”が官能的 『モンテ・クリスト伯』で魅せる底知れぬ色気

2018年05月04日 15:52  リアルサウンド

リアルサウンド

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 無実の罪を着せられ、15年の獄中生活を経て脱獄した柴門暖(ディーン・フジオカ)は、牢獄で出会ったファリア真海(田中泯)の莫大な隠し資産を譲り受け、世界屈指の投資家モンテ・クリスト・真海に生まれ変わった。


 5月3日に放送された『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(フジテレビ系)第3話では真海の復讐がついに始まり、暖を陥れた南条幸男(大倉忠義)と神楽清(新井浩文)、入間公平(高橋克典)の3人全員が、真海が開いたパーティーで顔を揃えることになる。“本当の不幸は壊すこと”だと自身の経験から語る真海。それゆえ彼は、幸男ら3人に直接手を下すことなく、彼らの妻をターゲットに選んだ。


 今回一番被害を被ったのは神楽の妻・ 留美(稲森いずみ)だろう。神楽から愛情を注がれず退屈な日々を送る留美は、若い男2人と浮気をすることで一時の満足を得ていた。そんな彼女が夫に付き添って訪れたパーティー会場である真海の別荘は、22年前に出産した赤ちゃんを入間と遺棄した場所。現在でも罪悪感に苛まれる留美は、そのショックからパーティーの最中に体調を崩してしまう。そして後日入間と密会するものの、中途半端な優しさだけを与えられ、親身に相談に乗ってくれることはなかった。過去を引きずり、現在を孤独にしか生きられない弱き留美は、真海にとっては恰好の的。復讐相手3人中2人と関係を持つ彼女が、今後の展開に密に関わってくることは言うまでもない。


 また、真海は入間と近づくために、入間の現在の妻・瑛理奈(山口紗弥加)にそばアレルギーを起こさせ、偶然通りかかったかのように救出もした。こうして留美は精神的傷を、瑛理奈は一時期だったが肉体的苦痛を味わったことになるが、かつて心から愛した目黒すみれ(山本美月)だけは、真海の計画の中で心身ともに傷つけられることはなかった。真海の中にいる暖が彼女を守ったのだろうか。作中、すみれと彼女の子供・明日花(鎌田恵怜奈)という手に入れられなかった幸せを見つめる真海の目には、復讐の根底にある悲哀が感じられた。


 美しき女性たちと復讐鬼の物語となった第3話。留美の動揺を静かに見守る姿や、着々と計画を進めていく落ち着きなど今回もディーンの魅力が炸裂していたが、やはりラストのシーンの官能さを語らずにはいられない。幸男のマネージャー江田愛梨(桜井ユキ)は、明日花とシーカヤックに乗っている際にわざとパドルを紛失したり、瑛理奈の水にそば粉を仕組んだりするなど影で真海の右腕として動いていたことが最後に明かされる。


 しかし愛莉の仕事は、そば粉の量が多すぎたり、勝手にFAXを送ったりと褒められたものではなかった。真海は、任務を終え唇を求めてくる愛梨に対し、低く落ち着きながらも怒りを含んだ声で“お説教”をする。暗く落とした照明と、ディーンの汗ばむ頬、そして彼の横顔の造形が実に官能的な空間を生み出していた。


 そして「おやすみ、愛莉。今夜は一人で寝るよ」とおあずけを食らわすディーンの姿で第3話は終わる。じれったい表情の桜井とおなじように、視聴者も翻弄されてしまったのではないだろうか。すみれを一途に愛していた暖からは想像できぬ、女性を手玉に取る真海。復讐劇の中で、予想もしていなかったディーンからのご褒美シーンは、『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』での新たな楽しみ方が開花した気がした。今後の女性陣とディーンが魅せる演技に期待が高まるばかりだ。(阿部桜子)