2018年5月から2019年6月の1年強のロングシーズンで争われる2018/19年WEC世界耐久選手権“スーパーシーズン”の開幕戦、スパ・フランコルシャン6時間レースは5月3日、午前と午後に各1回ずつ計2回のフリープラクティスが行われ、LMP1クラスに参戦するTOYOTA GAZOO Racingは7号車トヨタTS050ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)がトップタイムをマーク。また、僚機の8号車トヨタTS050ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ組)も全体2番手となるタイムを記録し、走行初日をワン・ツーで終えた。
冬の間のテストで述べ2万5000kmを走破し、4月上旬に行われたWECの公式テスト“プロローグ”では2台のTS050ハイブリッドが上位を独占したトヨタ。迎えた開幕戦でも1周あたり49%多い燃料と、37.5%多い瞬間燃料流量、そして45kg軽量な車体重量で戦うライバルのノンハイブリッド勢を相手に2回のプラクティスでそれぞれ上位を固める順調な滑り出しをみせている。
そんな開幕ラウンドの舞台であるスパ・フランコルシャンは、非常に長いストレートを持つコースレイアウトと開催時期の両面から、シリーズのハイライトに位置づけられているル・マン24時間レースの前哨戦として知られる。これまで第2戦としての開催だったこのスパラウンドが今季は開幕戦として開催されることは、ル・マンへ向けた実戦での準備の機会がわずか1戦しかないことを意味しており、トヨタでは昨年ハイダウンフォース仕様をメインに戦った今戦、2台ともにル・マンで使用するローダウンフォース仕様の空力パッケージを導入している。
3日のプラクティスでは合計180分のセッション間にエアロダイナミクスやメカニカル部分のセットアップを進めると同時に、3種類のミシュランタイヤの評価を実施。そのなかでコンウェイのドライブする7号車トヨタTS050ハイブリッドが1分56秒172というタイムで全体ベストタイムを記録すると、チームメイトの8号車トヨタTS050ハイブリッドを駆る中嶋一貴が1分56秒815で続き、トヨタが初日のタイムテーブルトップ2を独占した。なお、2台のトヨタTS050ハイブリッドはこの日だけで合計133周、距離にして約931kmを走破している。
初日全体ベストをマークしたコンウェイは「今日一日、とても良い状況だった。クルマがまるで生きているかのように感じられたよ」とコメント。
7号車トヨタをシェアする可夢偉も「決勝レースに向けてマシンバランスの改善を進めました」と初日を振り返り、「順調なスタートを切ることができたので、明日以降も楽しみです」と続けた。また、チームメイトのロペスは「僕にとって、TS050ハイブリッドでスパを走る初めてだったけれど、本当に楽しめたよ!」と語っている。
「とても上手くいった一日でした。車両バランスでもう少し改善したい部分がありますが、概ね問題はなく運転を楽しめました」と語るのは僚友7号車トヨタと0.643秒差の2番手タイムをマークした8号車トヨタの一貴。
「私自身は今日あまり多くの周回はできませんでしたが、それも耐久レースの宿命です。もっと運転したかったと思う気持ちがあるのは、車両の調整が上手くいっている証拠でしょう」
また、一貴とブエミの新たなチームメイトとなったアロンソは、WECデビュー戦初日を次にように振り返っている。
「今日は走行は実りのあるものとなった。ふたつのセッションでさまざまなことを試したけれど、2回の練習走行を走り込むにしたがってマシンのバランスの改善が進み、フィーリングが非常に良くなっている」
「トヨタTS050ハイブリッドはスパのコースに合っていて、コーナーからの脱出、特にオー・ルージュを駆け上がる時のハイブリッド・ブーストの加速は最高だね! タイヤも終始安定していた。明日も今日と同じように良い日になることを期待しているよ」
WECスーパーシーズン第1戦スパ6時間は5月4日(金)、午前中に60分間のフリープラクティス3回目が行われ、15時(日本時間22時)から決勝グリッドを決定する公式予選が開始される。