食品・調味料大手のカゴメが、就職活動で同社に応募した学生に自社製品を送っていることがわかり、ネットで話題になっている。
就活中の女子学生が4月28日、「カゴメが落ちた人に自社製品送ってくれるって、都市伝説じゃなかったんだ…」とツイートした。
「何万通もESが来る大企業が、このおもてなし。嫌いになれるわけないよね。むしろもっと好きになった。サイレント企業見てるか?見習え?」
ツイートに添えられた写真からは、「カゴメトマトジュース」と調味料の「ガリトマチキン」が送られてきたことがわかる。なぜ応募学生に自社製品を送っているのか。同社の広報担当者は、キャリコネニュースの取材に対し、「就活生に感謝の気持ちを込めて製品を送っている」と話す。
「就職先として興味を持っていただきましたことに心から感謝いたします」
送られてきた製品には、カゴメからの「御礼」が同封されていた。同社に興味を持った学生に感謝を伝えるものだ。
「この度はカゴメ株式会社にご応募いただきありがとうございました。就職先として興味を持っていただきましたこと、想いをこめてエントリーシート・履歴書を作成いただいたことに心から感謝いたします。カゴメからのささやかなお麗として、弊社の商品を用意しました」
普通は、選考に落ちても「お祈りメール」と呼ばれる不採用通知のメールが送られてくるだけのことが多い。また不採用の場合、何の連絡もしない企業も少なくない。
HR総研が2017年卒の学生を対象に実施した調査によると、「採用する企業側に改善してほしいと感じたこと」で最も多かったのは、こうした「サイレントお祈り」をやめてほしいというものだった。
そのためカゴメの対応については称賛の声が相次いだ。「カゴメは『面接で落とした人は社員じゃなくてお客様になる』ことを心得ているんですね」という声もある。就活中に心無い対応をされてその企業が嫌いになるという学生も少なくない。
「数ある企業の中から弊社を選んで下さったことへの感謝」
同社の広報担当者によると、「就活生に感謝の気持ちを込めて製品を送っている」のだという。
「数ある企業の中から弊社を選んで下さったこと、そして手間暇を掛けてエントリーシートを書いて下さったことに対する感謝の気持ちを伝えようと10年以上前からお送りしています。選考に残った方にもお渡ししていますが、その場合は郵送ではなく手渡しになります」
同社には毎年数千人から1万人ほど応募があるが、全員に製品を渡しているという。こうした取り組みの背景には同社の企業理念がある。
「弊社の企業理念は、『感謝・自然・開かれた企業』です。この『感謝』というのは、自然の恵みと人との出会いに感謝するということです。就職活動で応募してくれたというのも一つの出会い。そのご縁に感謝しています」