アゼルバイジャンGPの土曜日に正式に2019年に向けた交渉を開始したホンダとレッドブル。4月28日に初会談を終えた山本雅史モータースポーツ部長は、「いつも立ち話はしていますが、こうして膝を突き合わせて真剣な話をするのは初めてだったので、現時点では、まだスタートラインに立ったという感じです」と、初回の交渉では突っ込んだ話にはならなかったという。
では、約30分間の会談で、何を話し合ったのか。山本部長は「双方の基本的な考え方は伝えあった」と語った。
「各々の考え方があります。われわれはいまトロロッソとやり始めたばかりで、トロロッソ・ホンダとしても前に進まなきゃいけない中で、レッドブルとの関係をどう築くべきか。レッドブルにはレッドブルの考え方がある。今日はそのへんの話をして、『そうなんだ』と確認して別れました。それ以上の話はしていません」
つまり、ホンダがレッドブルとパートナーを組むと、トロロッソと2チーム供給になる。その辺の状況を確認したようだ。だが、トロロッソはデートリッヒ・マテシッツがオーナーを務めるレッドブルと姉妹関係にある。トロロッソを巡るお互いの考え方とは、いったい何なのだろうか。
「レッドブルとトロロッソが姉妹チームであることはわれわれも理解しています。でも、私はトロロッソをフランツ・トストさんが代表を務める1つのコンストラクターとしてリスペクトしている。確かにレッドブルテクノロジーセンターを通してお互いの共通項はあるので、ほかのチームと組むよりはスムーズになることは確かですが……」
つまり、レッドブルとしては、トロロッソは妹分的な存在であるから、自分たちを優遇してほしいと考えているのに対して、ホンダは現在のトロロッソとの関係を考慮し、できるだけイコールコンディションでのパートナーシップを構築しようとしているのではないかと考えられる。
以前、トロロッソのあるスタッフと、ホンダがレッドブルにもパワーユニットを供給することについて話し合ったことがある。そのとき、そのスタッフは「ホンダがレッドブルと組むことになっても、われわれはまったく構わない。なぜなら、トロロッソとレッドブルは姉妹チーム。レッドブルの利益はトロロッソのアドバンテージにもなるのだから」と語っていた。
ここは一度、トロロッソを含めた三者会談を開いてみてはどうだろうか。5月15日までは時間がない。ホンダとレッドブルの溝を、トロロッソが埋めることになっても不思議はない。