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真の主役は“あの人”? 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』期待以上の衝撃作になった理由

2018年04月30日 15:31  リアルサウンド

リアルサウンド

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 映画というのは事前の期待があまりにも高すぎると、観た後ちょっとガッカりみたいなことありますよね。決して作品自体は悪くないのに、こっちで勝手にハードルをあげてしまって。でも『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』について言えば、期待するな、という方がそもそも無理な話だし、そして! 期待をはるかに超える面白さであり、衝撃作でした!


 ルッソ兄弟(本作の監督)恐るべし、です。この作品が期待以上の作品に仕上がったポイントは2つあって、1つは、予告編に盛り込まれた映像や今までのマーベル映画の流れから
こうなるだろうと予測していたことは、ほとんどハズれました。つまりファンの“よみ”どおりのお話しなんて、作らないわけですね(笑)。だから最初の方から「ええ!?」の連続、この素敵な緊張感が2時間半たっぷり楽しめます。


 そしてルッソ兄弟が素晴らしいのは、ヒーロー一人一人の見せ場と出番をキッチリ&バッチリ見せてくれるところ。今回は各キャラともヒーローでいる時間の方が多い。例えばスパイダーマンであるピーター・パーカーは“高校生ピーター”としてのシーンはほんの少しで、あとはスパイダーマンとして登場しています。ブラック・ウィドウもファルコンもキャプテン・アメリカも私服のシーンは無くて、ヒーロー姿なのです。なので当然ヒーローアクションのシーンが多いのです。


 そして各ヒーローが今までの映画とは一味違うアクションを見せてくれるのも嬉しい。ドクター・ストレンジの使う魔技も『ドクター・ストレンジ』の時とは異なり、これぞ魔法バトル!のオンパレードだし、スーツが変わり新しいギミックで楽しませてくれるスパイダーマン、アイアンマン、それまでのシンボルだった武器を捨てて、新たな武器を使うキャプテン・アメリカとソー。エリザベス・オルセン演じるワンダ・マキシモフが妖艶度もパワーも増しており、その活躍ぶりが素敵でした。


 感心したのは、アベンジャーズとガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの絡め方です。今回はアベンジャーズの映画なので、ガーディアンズがゲスト? とんでもない! 実は物語の中で重要なパートを担うのは実はガーディアンズだったりします。過去2作で見せた、ロケットのお約束のギャグがまさかあんな形で本編に活かされるとは!(ネタバレになるから書きませんが)。今回本作のエグゼクティブ・プロデューサーとして『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の2作を撮ったジェームズ・ガンが参加していますから、ガーディアンズたちの魅力も担保されているわけですね。


 先の読めないストーリーと嬉しくなるようなヒーローアクションの連続で、史上最強のお祭り映画であることは間違いありませんが、とてもエモーショナルで感情に訴えてくる作品です。それは、今回のスーパーヴィラン(悪役)であるサノスの内面性をしっかり描いているからです。この恐るべき宇宙魔人は、確かに恐るべき計画を実行しようとしますが、彼なりにこの世界のためを思ってのことなのです。そして力を得る代償で、彼もまた多くの大切なものを失っていきます。そう本作の主役は、実はサノスなのです。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』がサノスの映画だったと考えるとすべてが納得いくハズです。


 上映時間2時間半ですが、至福の150分でした。そして次なる『アベンジャーズ4』が待ち遠しくてしょうがない! あと1年どうすごそう!(笑)。個人的には、確かに悪い曲ではないものの、ジョン・ウィリアムズの『スーパーマン』、ダニー・エルフマンの『バットマン』ほどの名曲ではなかった『アベンジャーズ』のテーマ曲ですが、今回あるシーンでヒーローたちが姿を現すところで、この曲が使われており、ヒーロー登場のカッコよさとこの曲のマッチングが絶妙で、初めてこの曲に心がわしづかみにされました。


 このシーンのかっこ良さ&「待ってました」感は、ヒーロー映画史に残る名シーンだと思います。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』必見です! あ、観終わった後、ヒーローたちが愛おしくなりグッズとかガンガン買ってしまうので(笑)、注意が必要です。僕もいっきにアベンジャーズ・フィギュアが増えました。(杉山すぴ豊)